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カルパースなど大口機関投資家グループ、CO2排出量の多い「グローバル問題企業」への共同エンゲージメント活動の「Climate Action 100+」イニシアティブを立ち上げ。5年間で成果を(RIEF)

2017-09-29 13:00:30

ClimateActionキャプチャ

 

  ベルリンで開いていた国連支援の責任投資原則(PRI)の年次会合は、CalPERS(カリフォルニア州職員退職退金基金)などの主要な機関投資家は、パリ協定の目標達成に向けて、世界で温室効果ガス発生量の多いグローバル大企業を対象に、投資家が共同のエンゲージメント活動をとる「Climate Action 100+」イニシアティブの立ち上げ宣言をした。

 

 

 「Climate Action 100+」は、グローバルベースで温室効果ガス排出量の多い大企業100社強をターゲットとして、投資家としてのエンゲージメント活動を集中させ、温室効果ガス排出量の削減を効果的に推し進める狙いだ。5年間の期間を区切ったイニシアティブとすることで、投資家側の集中行動も高める。

 

 宣言したのは、CalPERSのほか、オーストラリアのHESTA、英銀HSBCの資産運用部門の各担当者。ターゲットとするのは、温暖化加速を引き起こしている高排出量先で、「Systemically Important Carbon Emitters」と名づけた。略語の「SICEs」は「sickies(病人たち)」と発音する。

 

 Climate Action 2キャプチャ

 

 CalPERSの担当者Priya Mathur氏は「主張するだけでなく、行動への転換のきっかけにしたい」と述べている。共同行動の根拠となる温室効果ガス排出量や推移などのデータについては、CDPのデータを活用する。また行動に際しては、PRIおよび主要な気候関連NGOらとも共同歩調をとる。「圧力」を強めるためだ。

 

 活動の運営に際しては、CalPERSのほか、Australian Super、 Ircantec、HSBC Global Asset Managementの各機関と、PRIやCeres、 Investor Group on Climate Changeなど5つの主要機関の代表も参加する運営委員会を組織する。正式には年末に改めてアナウンスする予定だ。

 

 共同行動の主なポイントは、対象となる「SICEs」に対して、①パリ協定の2℃目標に合致するよう温室効果ガス排出量を削減すること②金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の報告や、産業別の「Global Investor Coalition Investor Expectations on Climate Changeのガイドラインなどに沿った気候関連の情報開示の促進③気候変動に対する企業経営陣の説明責任と監視の状態を明確に説明できる強いガバナンス構造の実施ーーなど。

 

 これらの共同エンゲージメント活動は、2012年以来、Global Investor Coalition on Climate Changeなどが積み上げてきた活動を踏まえ、その成果の上に、新たに展開されることになる。CalPERSの担当者は、「新しいイニシアティブによって、株主や長期機関投資家等は、気候変動に積極的な対応をとることを求められるSICEs企業に対して、パワフルなサインを直接、送ることになる」と説明している。

http://www.climateaction100.org/