ベルリンで開いていた国連支援の責任投資原則(PRI)の年次会合は、CalPERS(カリフォルニア州職員退職退金基金)などの主要な機関投資家は、パリ協定の目標達成に向けて、世界で温室効果ガス発生量の多いグローバル大企業を対象に、投資家が共同のエンゲージメント活動をとる「Climate Action 100+」イニシアティブの立ち上げ宣言をした。
「Climate Action 100+」は、グローバルベースで温室効果ガス排出量の多い大企業100社強をターゲットとして、投資家としてのエンゲージメント活動を集中させ、温室効果ガス排出量の削減を効果的に推し進める狙いだ。5年間の期間を区切ったイニシアティブとすることで、投資家側の集中行動も高める。
宣言したのは、CalPERSのほか、オーストラリアのHESTA、英銀HSBCの資産運用部門の各担当者。ターゲットとするのは、温暖化加速を引き起こしている高排出量先で、「Systemically Important Carbon Emitters」と名づけた。略語の「SICEs」は「sickies(病人たち)」と発音する。
CalPERSの担当者Priya Mathur氏は「主張するだけでなく、行動への転換のきっかけにしたい」と述べている。共同行動の根拠となる温室効果ガス排出量や推移などのデータについては、CDPのデータを活用する。また行動に際しては、PRIおよび主要な気候関連NGOらとも共同歩調をとる。「圧力」を強めるためだ。
活動の運営に際しては、CalPERSのほか、Australian Super、 Ircantec、HSBC Global Asset Managementの各機関と、PRIやCeres、 Investor Group on Climate Changeなど5つの主要機関の代表も参加する運営委員会を組織する。正式には年末に改めてアナウンスする予定だ。