大和ハウスグループの大和エネルギー。四国・愛媛県の山中で16MWの風力発電所建設へ。送電設備を山林の地中埋設するなど、環境にも配慮(RIEF)
2018-01-24 22:14:21
大和ハウスグループの大和エネルギー(大阪市)は、愛媛県西予市で風力発電所「DREAM Wind愛媛西予」の建設に着手した。同発電所は発電出力1万6000kWで、予定発電量は約8000世帯分に相当する年間約3万5000MW。大和ハウスグループが2055 年の創業100周年を見据えた環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」に沿った投資との位置づけだ。
建設する風力発電事業は、大和エネルギーにとって、愛媛県西宇和島郡伊方町での風力発電事業に続く2件目のプロジェクト。2019年11月から発電を開始する予定。総事業費は67億円。発電した電力は固定買取制度(FIT)を活用して20年間、四国電力に販売する。売電単価は22円/kWhで、20年間の売電額は約154億円の見込み。
大和ハウスグループは、大和ハウス工業の創業100周年にあたる2055年を見据えて、2016年度に環境ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定している。同時にビジョンの実現に向け、中期経営計画の対象期間に合わせて、3カ年ごとに具体的な目標と計画を策定する「エンドレスグリーンプログラム」を始動させる活動を進めている。
今回の風力発電事業はそうしたプログラムの一環。同地では2012年ごろから計画案が練られていたが、事業化のメドがついたのは、土地所有者から標高400~450mの山林にある約4.3ヘクタールの用地を賃借できたためという。風力発電事業は環境影響評価法法の適用を受ける。そのため、環境面への配慮から自然環境を極力現状のまま残し、風車の建設場所もなるべく道路近傍とし、最小限の樹木伐採や造成にとどめたとしている。
建設した風車は日立製作所製。定格出力2000kWのモデルを8基設置する。各風車間、風車と変電所間の送電設備のほとんどは、自然環境への配慮から、地下埋設にする。この結果、鉄塔や電柱などの人工構造物の乱立による自然の景観破壊が生じにくくなると見込まれる。
送電経路の樹木伐採や間伐も最小限に制限し、暴風などによる災害に強い送電設備網を整備する予定だ。同発電所建設で削減できるCO2量は、年間で1万4805t-CO2。杉林のCO2吸収量に換算すると、約1.18ha分に相当するという。
大和グループ全体での再生可能エネルギー事業(風力発電、太陽光発電、水力発電)の合計出力は、グループ全体で227MW、大和エネルギーだけで114MW分の施設を保有している。