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東芝、ウクライナの国営電力向けに原発用のタービン発電機輸出で覚書締結。「原発事業から撤退」だが、「原発機器は別」と海外で事業展開に力(各紙)

2018-02-08 23:42:02

energyatom5キャプチャ

 

 東芝はウクライナの国営電力会社「エネルゴアトム」と、同国の原子力発電所を近代化・増強する計画を支援する覚書を結んでいたことがわかった。東芝は米国の原発子会社、ウェスティングハウス社の経営破たんで、巨額損失を発生させ、経営危機に陥り、原発事業から撤退したが、ウクライナ向けは原発建設ではなく、タービン発電機等の関連機器に絞って輸出するという。

 

写真は、昨年10月に開いたエネルゴアトム社長のYuri Nedashkovsky氏と、東芝側代表との覚書調印式)

 

 東芝はウェスティングハウスの事業失敗によって、海外の原発を建設する事業からの撤退を決めている。だが、発電機などの原発関連機器の納品だけなら巨額損失につながるリスクは小さいと判断したという。

 

 ウクライナのエネルゴアトム社は、国内で15基の原発を運転しており、さらに2基を建設中。従来の古い原発の発電機を入れ替え、出力を高める計画で、東芝はこのタービン発電機を納入するため昨年10月25日に覚書を結んだ。

 

 両社が締結した覚書では、エネルゴアトムの抱える原発の発電量を増大させるため、東芝製タービン発電機器を導入する。発電容量の増大だけでなく、効率性、安全性を高めることで協力する、としている。さらに、原発に納入した機器の長期間の保守管理等の協力関係も目指し、最新の技術導入と金融ソリューションの提供についても明記した。

 

  エネルゴアトムのYuriy Nedashkovsky社長は「今回の東芝との協力は、単にウクライナの原発の能力増強に資するだけでない。わが国の原発の国内技術を発展させる追加的な機会を提供するだろう」と述べ、今後の協力関係の発展に対する期待を示すコメントを出している。

 

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 東芝は京浜事業所(横浜市)で火力発電所向けに加え、原子力向けタービン発電機を製造している。ウクライナに続いて、昨年11月には、2010年に受注したアラブ首長国連邦(UAE)の原発向けタービンを出荷している。

 

 東芝は米ウェスティングハウス社を2006年に約6000億円で買収、海外市場での原発輸出を事業の柱に据えていた。しかし、東京電力の福島第一原発事故後、原発の安全コストが上昇。米国で受注した4基の原発は、工費が増大して採算が悪化。その影響で、東芝本体も関連で合計1.4兆円の損失を計上、経営危機の原因となった。

 

 このため昨年3月、海外の原発新設事業については「リスクを遮断する」として撤退を公式に表明している。原発事業は国内の廃炉作業や改修・点検に焦点を絞っており、年間売上高は従来より7割以上も減って2000億円弱に萎んでいる。国内では原発の新増設は見込めず、再稼働も進まないため、廃炉以外の需要は見通せないことから、今回、海外原発の関連事業に重点を置いて、新たな展開を目指すことにしたという。

 

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 原発を丸ごと受注せず、関連機器を納めるだけなら事業費の見通しが立てやすいうえに、「巨額損失の懸念は少ない」(東芝関係者)との判断のようだ。ただ、関連機器でも原発の操業に影響を及ぼすと、大きなリスクにつながる。

 

 三菱重工業は米現地法人が、2012年1月に、米カリフォルニア州のサザンカリフォルニア・エジソン社(SCE)が所有するサンオノフレ原発に納入した蒸気発生器(Steam Generator)から微量の放射性物質を含む水が漏洩する事故が発生、総額66億6700万㌦を請求されるトラブルに見舞われた。同社は昨年3月、国際商業会議所(ICC)の仲裁を受け入れ、1億2500万㌦(約141億円)を支払った。http://rief-jp.org/ct4/68383

 

http://www.ua.emb-japan.go.jp/itprtop_en/00_000916.html

http://www.energoatom.kiev.ua/en/actvts/international/international_activities/53108-ukrainian_energoatom_and_japanese_toshiba_signed_a_memorandum_of_understanding_to_develop_cooperation_in_the_ukrainian_nuclear_power_plant/