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瀬戸内海・瀬戸市での塩田跡地転用の国内最大級のメガソーラー、工事完了。秋の稼働に向け試運転。出力235MW、8万世帯分の電力。自然と共生のハビタットも整備(RIEF)

2018-03-12 07:12:29

 

 岡山県瀬戸内市が実施した公募型プロポーザル方式で開発を進めてきた瀬戸内海・塩田跡地での国内最大級のメガソーラー工事が完了した。235MWの発電出力を持つ太陽光発電事業で「瀬戸内Kirei未来創り合同会社」が事業主体。試運転を行い、今年秋に本格的な商業運転に入る。総事業費約1100億円。一般家庭約8万世帯分の電力を発電し、CO2排出量の削減効果は、瀬戸内市のCO2総排出量の約半分をカバーできる見込み。

 

 事業主体の同合同会社は、GEエナジー・フィナンシャルサービス、東洋エンジニアリング、中電力、くにうみアセットマネジメントの4社が共同設立した。発電所は、岡山県瀬戸内市の市有地である「錦海塩田跡地」を借り受けて開発した。用地全体面積は500haで、このうち、東京ドーム56個分に相当する約265haの敷地に、約90万枚の太陽光発電パネルを敷き詰めた(パネル設置面積は約230ha)。

 

 発電した電力は、サイト内の100カ所以上に配置されたパワーステーションを経由して、サイトの北側の電気管理棟に設置された主変圧器に集められる。その後、16kmの地下送電線を通じて、全量を中国電力に送電・売却される。

 

 発電所工事は2 月 28 日に完了、中国電力の設備と接続する受電作業もすでに終えた。今後約半年間にわたって試運転した後、2018年秋にも商業運転に移行する予定。発電電力は、年間を通じて一般家庭約8万世帯分の消費電力に相当する。同発電所の稼働によるCO2排出量の削減効果は19万2000㌧で、瀬戸内市のCO2総排出量の約半分をカバーする。

 

整備された「ハビタット」
整備された「ハビタット」

 

 事業資金の約1100億円は、くにうみアセットマネジメントが、内外の投資家、28の金融機関からプロジェクトファイナンス方式によって調達した。

 

 錦海塩田跡地を利用した太陽光発電構想は、2013年4月に瀬戸内市が公表した。事業化は翌2014年から進められてきた。用地である錦海塩田跡地では、1971年の塩田事業廃止された後、40年以上も自然状態に置かれたことから、雨水と海水の混じり合う塩性湿地・ヨシ原・水路・クリーク(小川)ヤナギ林などの混在する自然環境が広がっている。

 

 そこで同プロジェクトでは、この環境を可能な限り保全し、湿地等に生息する動植物への影響を最小限に抑えて、太陽光発電と地域の自然保護を両立させる事業展開を描いた。自然環境地域では、地域にふさわしい風景を創出することを目的に、保全する塩性湿地帯のうち約16haで「錦海ハビタット(生息地)」を2016年2月に整備した。

 

高潮対策の防潮堤も整備
高潮対策の防潮堤も整備

 

 また瀬戸内市との施行協定に基づいて、高潮対策の防潮堤・防潮扉新設工事のほか、堤防補強土木工事も同時に行った。不要となった塩田を活用し、エネルギー、自然保護、安心・安全の3要素を整備したことになる。

 

http://www.setouchimegasolar.com/pdf/2018_03_07.pdf