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マンション各戸のエネファームで発電・融通する初のマンション単位の電力融通システム、静岡県で完成。東レ建設と静岡ガスが協力して実現(RIEF)

2018-04-09 07:04:29

Sizuoka1キャプチャ

 

   家庭で普及する燃料電池エネファームをマンションの全戸に配備し、居住者者間で電力を融通し合うことのできるマンションが静岡県で完成した。マンション単位で発電・電力融通のシステムが実用化されるのは日本では初めてという。

 

 「自前の電力を分け合う」環境配慮型マンションは、静岡県駿東郡長泉町に東レ建設が建設した「シャリエ長泉グランマークス」。地上12階建ての2棟合計190戸の全戸3LDK、4LDKの家族世帯向け分譲マンション。

 

 マンションには静岡ガスが開発したエネファームの「T-グリッドシステム」を導入した。同システムは各戸に配備したエネファームによる発電と、それらのエネファームを相互に連結して余剰電力を融通し合うことが可能だ。

 

 各戸のエネファームの最大発電出力は750W。電力の使用状況は各戸によって異なる。このため、最大出力を超えで電力を使用する家庭では、不足する電力を他の家庭ので発電した電力を購入し、電力を余す家庭は販売できる。実際は、家庭同士が直接売買するのではなく、余剰電力を静岡ガスがいったん購入し、追加電力を必要とする家庭に融通する形をとる。電力を供給した家庭は電力料金を軽減できる。

 

Shizuoka2キャプチャ

 

 同システムでは、従来通りの各戸単位のエネファームの制御に加え、静岡ガスがマンション全体の電気の購入量を計測し、発電余力のある家庭のエネファームの出力を上げることで、マンション全体で不足する電気量を賄う仕組み。マンション全体の電力需要が多い時は、マンション外から購入(系統依存)するが、内部での融通によって、外部購入分を効率的に削減できる。


 外部購入の電力分を制御することで、省エネの促進と、CO2排出量の削減に貢献できる。今回のシステム導入で、CO2排出量は通常のマンションに比べて約30%削減できるという。また居住者間での電力の共有意識に基づき、節電のさらなる促進、マンション内のコミュニティ形成の強化にもつながる期待がある。

 

 同マンションは、JR東海線の新三島駅に近く、環境意識の高い30~40歳代の子育て世帯が多く居住している。居住者は、今回のシステムによる電力の使用状況やCO2の削減効果等をタブレット端末で、確認できる。

 

 東レ建設と静岡ガスは、CO2削減の価値をクレジット化し、長泉町の地域内で循環させる「環境価値の地産地消」を実現する活動を始めている。こんなマンションはもっと全国に普及してもらいたい。

http://www.shizuokagas.co.jp/page.jsp?id=37936