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世界の異常高温、人類の経済活動の影響と、自然要因による地球表面温度上昇の相乗作用で「今年から2022年まで続く」、仏ブレスト大学チームが最新予測研究(各紙)

2018-08-17 17:18:26

AFPキャプチャ

 

 人間の影響による地球温暖化の加速と、自然要因による地球表面温度の上昇の相乗作用によって、今年から2022年までの5年間は、異常な高気温が続く可能性が高いと予測する研究論文が14日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に公表された。また、この相乗作業は、海洋表層水での「異常な温暖化現象」の発生確率を2倍以上に高め、ハリケーンや台風の危険な温床を形成するという。

 

 論文は、仏ブレスト大学(University of Brest)の気象学者のFlorian Sevellec氏と、Sybren S. Drijfhout氏が共同執筆した。「この温暖期は、長期にわたる気候変動を助長している」と指摘し、「この温暖期は少なくとも5年間は続くと予想される」と続けた。

 

 それによると、気候変動といわゆる自然変動のダブルパンチは、海洋表層水での「異常な温暖化現象」の発生確率を2倍以上に高め、ハリケーンや台風の危険な温床を形成するという。

 

  地球の平均表面温度はこれまでも、常に変動してきた。過去数百万年間では、氷河期と現在より気温が高かった温暖期との間をほぼ10万年ごとに揺れ動いた。しかし、過去1万1000年間では、この気温変動が極めて穏やかになった結果、人類が繁栄することができたという。

 

 この間の小規模な自然変動に加えて、主に人類の経済活動によって、20世紀中に大気中に放出された多量の温室効果ガスに起因する気候変動が生じ、次第に自然変動の影響を圧倒する形になっているという。

 

 これまでの異常気象の研究では、人為的な影響と自然変動の影響を分離することが大きな課題で、熱帯低気圧、干ばつ、洪水やその他の種類の異常気象に気候変動が及ぼす影響の定量化を試みる研究者らの悩みの種でもあった。この点で、Sevellec氏らの研究チームは異なる角度からこの問題に取り組んだ。

 

 第1に、大半の気象学者にとって気候変動の特徴的パターンを見えにくくする「ノイズ」である自然変動に着目したこと。第2に、最も長期的な予測をもたらす包括的な気候モデルではなく、簡素化した統計的手法を用いたことだ。

 

 「今回の研究では、気候における経年の(短期的な)自然変動を予測するためのシステムを開発した」と、Sevellec氏は説明する。その結果、「2018~2022年の期間については、平年値からの差(偏差)が人為的温暖化の影響と同等であることを発見した」という。すなわち、自然温暖化は今後5年間で人為的気候変動とほぼ同程度の影響を及ぼすということだ。海の熱波など、海の「温暖化現象」の発生確率は150%増加すると予測されている。

 

 確率予報(PRObabilistic foreCAST)を略して「PROCAST」と命名されたこの最新手法は、過去の気温記録と比較して検証した結果、少なくとも標準的なモデルと同程度の予測精度を持つことが判明した。 PROCASTはノートパソコン上で数秒間で実行可能で、スーパーコンピューターでの数週間に及ぶ計算時間を必要としない。

 

 「このシステムは気候予測を実行できる可能性をより多くの研究者らに、特にスーパーコンピューターを容易に利用できない国々の研究者らに向けて開くものだ」と、述べている。研究チームは、地域的な予測や、気温に加えて降雨量や干ばつ傾向などの評価を行えるようにPROCASTシステムを適合させる予定だ。

 https://www.nature.com/articles/s41467-018-05442-8

http://www.afpbb.com/articles/-/3186119