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ユニセフ(国連児童基金)、ESG投資判断に投資先企業の「子どもの人権」「子どものフットプリント」を加えるためのガイダンス案を公表(RIEF)

2018-10-27 00:21:55

UNICEFキャプチャ

 

 企業のESG活動に子どもの人権配慮を求めるガイダンス案を、ユニセフ(Unicef:国連児童基金)がまとめた。投資家が、投資対象とする企業が子どもの人権を評価すべき視点を整理した。従来の児童労働問題だけでなく、消費者として、従業員の家族としての子どもへの影響、さらに大人には影響しなくても子どもには負の影響を及ぼすビジネス活動の自粛などを求める内容だ。

 

 ガイダンス案は、スウェーデンのESG評価機関のGESInternationalの協力でまとめた。同案は現在、コンサルテーション中。基本は投資家の投資判断に際して、子どもの人権がどう配慮されているか、それらの投資先企業がどう対応しているのか、を評価する構成となっている。

 

 「投資家への期待」として、子どもの人権配慮を投資判断に組み込むポイントとして、7つの要点をまとめている。それらは、次のようになる。

 

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(1)投資家は自らの責任投資政策に子どもの人権配慮を明記し、子どもの人権リスクを管理・制御する投資アプローチを公に開示する。

 

(2)子どもの人権毀損を引き起こすリスクがある投資先のセクター、企業、地域を明らかにする。そうした先に投資を検討する場合は、追加的なデユーデリジェンスを適用する。

 

 (3)子どもの人権に有害になるビジネスを展開している企業への投資は避ける。

 

(4)投資先企業との子どもの人権について積極的なダイアログ(対話)に取り組む。特に、実際あるいは潜在的に子どもの人権侵害が確認される場合には、当該企業との対話等の取り組みが必要。

 

(5)可能ならば、子どもの人権配慮に積極的に貢献する製品やサービスを提供する企業への投資を検討する。

 

(6)子どもの人権課題を、投資先企業、ポートフォリオ先企業等との会合や、アクティブオーナーシップ等との株主会合等で、「議論するポイント」として位置付ける。

 

(7)子どもの人権課題を同業他社との相互交流において議論をするほか、業界として協力し合う機会を模索するーーなどだ。

 

UNICEF2キャプチャ

 

 これらのポイントは、投資家が子どもの人権課題を、投資判断で評価する上での目安となる手順を示す形だ。ガイダンス案は「投資家は、子どもの人権を含む人権課題に関する企業行動に影響を及ぼす重要な役割がある。だが、現状の人権配慮事項やサステナビリティ・イニシアティブに関する投資判断には、『子ども』はほとんど含まれていない」と、『子どもなき人権対応』の盲点を指摘している。

 

 ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォア氏は「今回のガイダンス案は、投資判断に際して、『子どものフットプリント(Child footprint)』を知るためのツールなのだ」と述べている。

 

 ガイダンス案は、ユニセフと国連グローバルコンパクト、さらにセーブ・ザ・チルドレンが2012年に立ち上げた「子どもの人権とビジネス原則(Children’s Rights and Business Principles:CRBP)と、GESの「子どもの人権統合のための投資家ガイダンス」(2016年)をベースにしてまとめている。

 

 同案に対するコメントは、だれでも出すことができる。

https://www.surveymonkey.com/r/ges_unicef_investor_guidance コメント提出期限は11月9日。

Contact Tytti Kaasinen and Ida Hyllested.

 

https://www.gesinternational.com/publications/news/2018/public-consultation-on-the-investor-guidance-for-childrens-rights-integration