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日揮ホールディングス、低コストのCCS技術等を内外で市場化。社長直轄「サステナビリティ協創部」が推進。廃プラ・ケミカルリサイクルも。「環境負荷」をビジネスチャンスに(RIEF)

2019-10-02 12:33:57

nikki1キャプチャ

 

 日揮ホールディングス(横浜)は、化石燃料の火力発電事業等からCO2を回収・貯留するCCS技術や、廃プラスチックの有効活用等の環境改善技術を事業の柱の一つに据え、社長直轄の「サステナビリティ協創部」を新設した。同社は「環境技術をコアとするビジネス構築を加速していく」と宣言した。

 

 同社が「サステナビリティ協創部」の柱の技術と位置付けるのは、①DDR型ゼオライト膜によるCCS技術②廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクル③CO2フリーアンモニアを活用したエネルギーチェーンの構築④CO2の固定化と利用に関する新技術開発と商用化ーーの4件。

 

  このうちCCS技術は、CO2排出量の多い原油等の化石燃料の燃焼から、直接CO2を回収し、地中や海底等に貯留する技術をいう。通常、CO2を排ガスから分離するには、導入コストが低く、消費エネルギーも少ない高分子膜法を使う。ただ高濃度のCO2を含む原油生産時の随伴ガス等の処理に際しては、膜の交換コストが課題になっている。

 

DDR1キャプチャ

 

 日揮が日本ガイシと共同開発してきたDDR型ゼオライト膜は、高濃度のCO2環境下でも高い耐久性を維持できるため、交換コストを低減できるという。その結果、CCSプラントの経済性をアップできる。

 

 また天然ガス精製時のCO2吸収は、通常、化学吸収法を使う。この場合も、対象ガスのCO2濃度が高まるにつれ吸収溶剤の使用量が増え、溶剤再生に伴う消費エネルギーが増え、コストアップする。この場合もDDR型ゼオライト膜プロセスを化学吸収法の前段に用いることで、コスト削減ができるという。

 

DDR2キャプチャ

 

 同社では、新興国における人口の増加や生活水準の向上を背景に、世界のエネルギー需要は増大し続けており、エネルギー利用効率の向上や再エネ利用拡大に加えて、今後、数十年間はCCS等を活用することで、化石燃料についてもCO2排出量削減し、エネルギー需要に対応する役割を与え続けることができるとみている。

 

 廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルは、同社が荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工とともに7月31日にEUP(Ebara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備のEPCに関わる協業の検討を開始している。

 

 年内を目途にEUPのライセンス契約を締結のうえ、国内外でガス化処理設備に関わる積極的な営業活動を展開し、EUPを用いた廃プラスチックガス化処理設備の提案およびEPC業務遂行を目指す、としている。EUPを含む設備で合成されるアンモニアやオレフィン等を用いた化学品製造設備の提案も進めていく方針だ。

 

https://www.jgc.com/jp/news/2019/20191001_02.html