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電力管理支援のエナリス、家庭の「卒FIT」電力を預かり、蓄電・売電代行サービスの実証実験。12月から福島県で始める(各紙)

2019-11-15 00:49:46

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 各紙の報道によると、KDDIとJパワーが出資する電力管理支援のエナリス(東京)は、消費者が家庭の太陽光パネルで発電した電力を預かって市場で運用するサービスの実証実験を12月から始める。預かった電力を蓄電池にためておき、電力卸取引市場の値動きを見ながら販売する。消費者は家庭で使い切れない電力を、電力会社に売却するよりも、相対的に高い値で転売できる可能性が出てくる。

 

 

 日本経済新聞が報じた。エナリスは、これまで法人・自治体向けと、小売電力事業者向けの電力管理サービスを提供している。今回の実証化が成功すると、家庭向けサービスを追加することになる。

 

 家庭での太陽光発電電力は、11月から順次、固定価格買取制度(FIT)の買い取り期限を迎えている。各家庭は期限後も電力会社に「卒FIT」電力として販売できるが、買い取り価格は2009年に設置した家庭の場合の売電価格の48.00円/kWhから、同10円前後に急落する。

 

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 各電力会社は蓄電池併用や他のサービスとのセット等で、「卒FIT」電力の契約競争を展開している。今回のエナリスの試みは、こうした買取型ではなく、家庭の発電電力を、販売代行の形で預かり、卸売市場の需給に応じて最適価格で販売する手法だ。エナリスは利益の一部を手数料として受け取る。

 

 電力卸売市場のスポット価格は、夏場の冷房需要が高い時には、1kW時当たり20円前後になる場合もある。電力需給のひっ迫時だ。蓄電池で電力をためておいて、そうした市場価格の高い時に販売すれば、需給緩和効果とともに、預けた家庭も比較的高い価格で売電できることになる。

 

 エナリスは今回、福島県の一部地域で疑似的な預かり取引の実証実験を始める。実験で事業の実用性などを判断したうえで、実用化の見通しをつける考え。同社はブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用して、預かった家庭発電の電力を特定できるようにして管理する方針。

 

 電力卸売市場は、需給で変動するが、その需給を左右する要因として気象条件の変動がある。代行して電力販売をする場合、こうした変動要因を的確にとらえて売却するノウハウも必要になる。また夏場には確かに電力価格が上昇するが、電力消費が少ない季節には価格は下落する。エナリス自身の電力管理能力が試される側面もある。

 

https://www.eneres.co.jp/service

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO52164500U9A111C1TJ2000?type=my#AAAUAgAAMA