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丸紅、石炭火力発電所などから排出されるCO2を回収・再利用する「カーボン・リサイクル」事業に進出。英専門企業に出資。グローバルに事業化目指す(各紙)

2020-02-17 07:37:37

CCSキャプチャ

 

 各紙の報道によると、丸紅は、石炭火力発電所などで発生するCO2を回収して再利用する「カーボンリサイクル」事業に乗り出す。同技術で、効率よくCO2を回収する技術を持つ英カーボン・クリーン・ソリューションズ(ロンドン)に出資する。出資額は数億円程度とされる。温暖化ガスの排出削減に向け、自社の発電設備で採用を検討するほか、顧客企業にも販売する方針という。

 

 日本経済新聞が報じた。カーボンリサイクル技術は、カーボン回収貯留(CCS)技術を応用して、回収後に再利用するもので、カーボン回収利用(CCU)とも呼ばれる。出資先のカーボン・クリーン・ソリューション社は2009年に設立されている。同社では、CO2の吸着率が高い特殊な溶剤を開発している。発電所やプラントから出る排ガスからCO2を分離・回収し、それらを飲料や食品、化学品の原料として再利用することが可能という。

 

 同社が開発したCO2回収システムでは、煙突状の設備にCO2を含む排ガスを通過させ、溶剤を散布して吸着させる。同社が吸着用に使用する溶剤は、従来品に比べ金属を腐食させにくい特徴があることで、吸着設備にコストの高い特殊なステンレスを使う必要がないという。また、CO2の回収効率も高いことから、設備のサイズも小規模なもので可能。CO2回収にかかるコストは従来の設備に比べて3~4割安くなるとしている。

 

 丸紅は、自社が各地に保有する石炭火力発電所に同技術を活用して、CO2排出量を削減するとともに、自社の営業網を活用して、グローバル市場での発電所やプラント企業等に同技術を販売していく予定。特に欧州や米国の環境規制の厳しい州での火力発電所などに、温室効果ガスの削減設備として販売していくことを目指す。吸着・回収したCO2は、食品メーカーや産業ガスメーカー、化学プラントなどに販売していく。

 

 CO2を再利用する「カーボンリサイクル」は欧米で研究が進んでいる。再利用されるCO2の量は2018年の3300万㌧から、2030年には2億㌧に増えると予測されている。別途、カナダ企業のカーボンキュアは、回収したCO2をコンクリートに閉じ込める技術を実用化しているという。

https://www.marubeni.com/jp/

https://carboncleansolutions.com/

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200217&ng=DGKKZO55702080W0A210C2TJC000