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河野太郎規制改革相 再エネ活用を促進するため、既存制度の総点検の姿勢を示す。経産省の「原発・石炭火力優先」のエネルギー政策の見直しに切り込めるか(各紙)

2020-10-20 11:56:52

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  各紙の報道によると、河野太郎規制改革相は、再生可能エネルギーの活用促進に向けて既存の制度を総点検する方針を示した。日本の再エネ普及は2018年度時点で17%で、欧州の30%平均よりかなり低い。このため同相は、風力や太陽光発電の利用を増やすため「きっちり課題の洗い出しをし、一つずつみていきたい」として、関連する規制や基準の見直しを求めていく姿勢を示した。

 

 日本経済新聞のインタビューで答えた。同紙では、同相の発言について「経済界の要望を踏まえたもので、事業者の投資を促し、菅義偉政権がめざす再生エネの普及を後押しする」と位置付けている。

 

 インタビューの中で河野氏は「新しい経済の発展につながるものは取り入れていきたい」と強調したとし、捺印廃止などの行政手続きや医療を巡る制度の見直しに加え、エネルギー分野の規制改革に注力する考えを示した。

 

 同相は、再エネ普及が進まない不満が経済界でも高まっているとのデータを元に、「いろいろな規制で投資ができないと聞いている」として、すでに関係する規制のリストアップを始めたことを明らかにした。各府省に「緩和ができないものは理由を言ってもらうというキャッチボールをやっていきたい」と指示したとしている。

 

 例えば、風力発電の設置に適した海岸沿いには港湾施設などの国有地や公有地が多い。そうした場所で占用許可を得やすくする制度改正を視野に入れているという。用地を確保しやすくなれば発電コストを軽減でき、投資に弾みがつくとの考えだ。

 

 また洋上での風力発電は現在、国が指定した海域でしか開発できない。事業者が建設したいエリアがあっても国の「促進区域」に選ばれない限り建設できない。事業参入には少ない候補海域を巡る公募で勝ち残らなければならないという課題もある。

 

 日本の発電量に占める再エネ比率は2018年度時点で17%。経産省のエネルギー基本計画でも、2030年で22~24%と低いレベルに置かれている。欧州では平均して30%前後の開発が進んでおり、ドイツは2030年目標として60%にまで高める法案を提出済みだ。

 

 再エネ普及が進まないのは、経産省が原発、石炭火力重視のエネルギー政策を維持するため、再エネ普及をむしろ抑えているとの指摘もある。再エネ普及が進むと、原発、石炭火力による発電を縮小してもエネルギー供給を十分にまかなえることになるためだ。

 

 その点は、発電した電力を需要サイドに送る送電網の利用でも、経産省は送配電等業務指針において、原発、石炭火力の利用に優先割り当てをする仕組みとなっていることでも明らかだ。再エネ電力は、その残りの送電枠を使わざる得ず、発電量が増えると出力制限を受けるという構造で、事業性に影響する。

 

 河野規制改革相の発言が、リップサービスに終わるのではなく、経産省のエネルギー政策の根幹を見直す方向に議論が進み、エネルギー政策を転換できることを期待したい。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO65140470X11C20A0PP8000?type=my#AAAUAgAAMA