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京都市、関西電力に対して、自治体初の「発電事業の脱炭素化」を求める株主議案を提出。新設石炭火力発電の電力は売電せず、既存火力はCCUS導入を求める(RIEF)

2021-05-06 15:57:24

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 京都市は関西電力に対して、「発電事業の脱炭素化」を求める株主議案を提案した。新設の石炭火力発電を売電対象としないほか、既設の火力はカーボン回収貯留利用(CCUS)導入を前提とし、CO2総量削減計画の策定・開示等を、定款に記載するよう求めている。同市はこれまでも大阪市とともに、脱原発の株主議案を提案してきたが、今回は脱原発提案に加え、京都市の単独提案として脱炭素提案を行った。自治体が脱炭素の株主提案を行うのは初めて。

 

 関電の株主総会は6月25日に開催される。京都市は脱原発依存や、同社の経営の透明性の確保等で3本の株主議案を大阪市と共同提出したほか、今回新たに、脱原発依存と安全性の確保と、 発電事業の脱炭素化を求める2本の議案を追加、合計5本を提案した。議案は、連休前の4月28日に関電に郵送した。

 

 新たな脱原発議案は、定款の一部変更として、「脱炭素社会の実現に向けた事業形態の革新」の章を設け、発電事業の脱炭素化を経営として明確化することを求めるものだ。

 

 具体的な「脱炭素化」措置としては、①新規の石炭火力発電を前提とする電力受給契約を結ばない③既設石炭火力はCCUS技術が実用化時点で速やかに導入④TCFDのシナリオ分析に基づく中長期的な気候関連のリスクと機会を開示⑤ESG要素に連動する役員報酬制度の導入――等の明記を求めている。

 

 同市では、提案理由として「2050年カーボンニュートラル実現に向け、エネルギー供給事業者が担う役割は大きい。真にカーボンニュートラルを実現するには、地球温暖化の防止に向けたパリ協定の『1.5℃目標』に整合する事業運営を実施していく必要がある」としている。

 

 また「脱原発依存と安全性の確保」を求める議案では、「再エネを最大限導入するなど原発に依存しない、持続可能で安心安全な電力供給体制を可能な限り早期に構築する」「そうした電力供給体制が築かれるまでの間に原発を稼働する場合は、安全性の確保と地域住民の理解を得たうえで、必要最低限の範囲で行う」とすることを求めている。

 

 京都市の脱炭素株主議案の提出について、環境NGOの気候ネットワークは、「自治体が電力会社の主要株主として、株主提案で脱炭素を求める動きが出始めたことを歓迎する。一方、CCUSの速やかな導入を求めているが、CCUSは技術的にもコスト的にも実用化の見通しは立っておらず、日本には適地も乏しい。CCUSの実用化を待っていては『1.5℃目標』達成に間に合わない。今すぐに脱炭素に向けた対策強化が必要」と指摘している。

 

 京都市は3月、国際的な「脱石炭国際連盟(PPCA)」に日本から初めての加盟団体となり、2030年までの石炭火力全廃の方針を打ち出している。

 

https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000283760.html

https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000283/283760/R3koho.pdf

https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000283/283760/R3bessi.pdf

https://www.kikonet.org/info/press-release/2021-04-30/stockholder-proposal_kyoto