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ドイツ政府、2030年の温室効果ガス排出量削減目標を55%から65%に強化。ネットゼロ目標も2045年に前倒し。憲法裁判での敗訴と、秋の総選挙睨みか(RIEF)

2021-05-06 11:38:16

gernamy001キャプチャ

  ドイツ政府は5日、温室効果ガス(GHG)排出削減目標を2030年までに65%削減に強化するとともに、ネットゼロ達成目標も2045年までに前倒しする方針を明らかにした。ドイツでは先に憲法裁判所が政府の2031年以降のGHG削減対策が十分でないとして、現行の気候保護法の改正が命じられたことに対応する。また9月の総選挙に向けてグリーン党への支持が高まっていることを受け、争点となる気候対策を先行実施する狙いもあるとみられる。

 ロイター通信等が報じた。オラフ・ショルツ(Olaf Scholz)財務相が同日、明らかにした。同氏によると、30年、45年の目標に加えて、40年にも中間目標として88%削減を設定する。いずれも90年比。EUは30年55%削減、50年ネットゼロとしているが、これを上回る目標設定となる。同相は来週中に現行の気候保護法の改正案を議会に提出するとしている。

 憲法裁判所の判決は、4月29日に出された。気候変動対策を求める「未来のための金曜日」運動に参加する若者たちや、有機農業を営むその家族等が、環境NGOとともに提起していた。原告は2019年に制定した気候保護法は2030年の削減目標(55%減)を定めているものの、31年以降の対策は明示していないことから、対策の明確化を求めていた。http://rief-jp.org/ct8/113783?ctid=71

 

 裁判所は、原告の主張を受け入れ、31年以降、長期間にわたって対策が延期されることは憲法と不適合との判断を示した。今回のドイツ政府の目標の強化と前倒しは、この判決を受けて気候保護法の改正に取り組むことを明確にした。

 

 同時に、9月に予定される総選挙をにらんで、世論調査で優位に立つグリーン党に対抗するため、気候対策でのリーダーシップを打ち出す狙いもあるとみられる。ドイツ政府が示した「30年65%削減」はEU内ではもっとも「野心的」な目標となる。また、ネットゼロの目標年を45年とするのも、他国に例がない。

 ドイツのGHG排出量はすでに90年比で約40%削減されている。環境相のスベンヤ・シュルツ(Svenja Schulze)氏は、今回示した30年の新目標の達成には、2020年代で25%ポイントの削減、その後、30年代に23%ポイント、40年代前半に12%ポイントの削減で達成するとのロードマップも示した。同氏は「こうした削減目標は、未来に大きな負担を残すことなく、若い世代にとっても公平な提案になる。10年ごと、世代ごとに、同等の責任を負うことになる」と述べている。

 EUではこれまでも、政府の温暖化対策の不十分さが裁判で指摘されるケースが相次いでいる。2018年10月にオランダで政府が敗訴したほか、アイルランドでも2020年8月に政府が負けている。ドイツの今回の対応で、欧州では政府が削減目標として掲げる数値を実現するための明確な政策が示されないと、政府は責任を果たしていないことが、法的にも明確化されたことになる。http://rief-jp.org/ct8/87787 http://rief-jp.org/ct8/105307

 日本政府も、温暖化対策推進法を改正して、2050年ネットゼロを目標とする方針を決めている。ただ、政府法案には、目標を実現する対策や手順は十分には盛り込まれていない。目標達成に向けた政府の責任についても明確ではない。日本でも「気候訴訟」が必要かもしれない。

https://www.reuters.com/business/environment/germany-raise-2030-co2-emissions-reduction-target-65-spiegel-2021-05-05/