HOME5. 政策関連 |英政府、初のグリーン国債。100億ポンド(約1兆5000億円)発行。一回の発行額では過去最大。年内に追加で50億ポンド発行。資金使途はゼロ排出バス、洋上風力事業等。原発は除外(RIEF) |

英政府、初のグリーン国債。100億ポンド(約1兆5000億円)発行。一回の発行額では過去最大。年内に追加で50億ポンド発行。資金使途はゼロ排出バス、洋上風力事業等。原発は除外(RIEF)

2021-09-22 11:21:57

UKTreasuryキャプチャ

 

  英政府は21日、英国初のグリーン国債(グリーンボンド国債)を100億ポンド(約1兆5000億円)を発行した。一度のグリーン国債発行額としては、これまで各国が発行してきたグリーン国債の中で最大となる。ボンドには内外の機関投資家等から発行額の9倍の応募が殺到した。

 

 (写真は、ロンドンの英財務省)

 

 英国の国債は「ギルト」と呼ばれることから、今回のグリーン国債についても「グリーンギルト」と呼んでいる。https://rief-jp.org/ct4/111548

 

 発行した英国初のグリーン国債は期間12年。英政府は年内にも追加のグリーン国債を少なくとも50億ポンド分を発行する予定。両ボンドの資金使途は、ゼロエミッションバスや洋上風力発電事業、脱炭素住宅や建物等、洪水対策、生物多様性保全等の政府支援資金等に充当する。https://rief-jp.org/ct8/117544?ctid=71

 

 資金使途先からは、化石燃料事業、原子力発電所、兵器製造、タバコ、ゲーム事業、パーム油、アルコール事業等は除外される。主幹事は、Barclays、BNP Paribas、Citigroup、Deutsche Bank、HSBC、JP Morganの6金融機関。英政府が制定したグリーン国債フレームワークについてはVigeo.Eiris(V.E.)がセカンドオピニオンを付与している。

 

 英蔵相のリシ・スナク氏は「英国初のグリーン国債は英国がグリーンファイナンスの分野でも、世界のリーダーであり続けることのシグナルでもある。資金使途は英国中のグリーンンプロジェクトに充当される。英国社会を『Build back better and greener(より良く、よりグリーンに立て直す)』ために使われる。さらにネットゼロに向けた移行のために新たな雇用を生み出すことにつながる」と強調している。

 

 英国は10月末からグラスゴーで国連の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を開催するが、今回の大規模なグリーン国債発行は、COP主催国として環境問題への取り組み姿勢と、そのためのグリーンファイナンスでの中心的役割を担うことを宣言する形でもある。

 

 グリーン国債を発行する国は、今回の英国を含めて16カ国となった。それらの発行総額は950億ポンド(約14兆2500億円)。フランス、ドイツ等の欧州諸国が発行を先導する形だ。今回、英国は欧州諸国の中では発行が遅れたが、発行規模を過去最大にすることでメンツを保った形でもある。

 

 主要先進国では、米国、カナダ、日本等が未発行国となっている。

 

(注)RIEFではこれまで、国が発行するグリーンボンドについて「グリーンボンド国債」と報じてきましたが、グリーンボンドへの理解が進んだことと、国債発行が増えてきたことから、「グリーン国債」の記載で統一します。

https://www.gov.uk/government/news/uks-first-green-gilt-raises-10-billion-for-green-projects

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1002578/20210630_UK_Government_Green_Financing_Framework.pdf