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川崎市、市内建築物の新増築時に、太陽光発電設置を義務付ける条例改正案。義務対象は、延床面積2000㎡以上の建築主、2000㎡以下の供給事業者。太陽光発電義務化は4自治体目(RIEF)

2022-08-03 15:06:13

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 川崎市は市内の建築物に太陽光発電設備の設置を義務付ける条例改正案をまとめた。延床面積2000㎡以上の新築・増築建築物の場合は、建築主に対して義務を課し、同2000㎡未満の新築建築物の場合は供給事業者に義務を課す方向だ。建物の新増築に際して、太陽光発電設置を義務付ける方針を打ち出したのは、京都市、東京都、群馬県に次いで4自治体目となる。

 

 (写真は、川崎市麻生区の区役所屋上に設置された太陽光発電設備)

 

 川崎市は7月27日に開催した「環境審議会脱炭素化部会」で同条例改正の素案を提示した。今後、審議会本会議で了承後、「川崎市地球温暖化対策推進条例」を改正し、2023年度中の施行を目指す。

 

  同市の温室効果ガス排出量は年間2139万㌧(2020年時点)で、政令指定都市の中でもっとも多い。人口規模がほぼ同じ京都市や福岡市に比べ、約3.3倍も多い。現在の市内での再エネ導入量は約20万kW。2050年までの再エネポテンシャルは現状を4倍以上上回る約73万kWと試算されている。このポテンシャルのうち住宅用・事後湯用の太陽光発電が大半を占める。

 

 こうした実態と推計から、一定規模の建築物の新設等に際して、太陽光発電設備導入を義務付ける方針を示した。

 

 素案では、まず、「義務制度1」として、延床面積2000㎡以上の新築・増築建築物の場合、建築主に対する設置を義務づける。義務量は熱量換算6万MJ~45万MJ(2000㎡~15000㎡)程度。 平均的な太陽光発電の出力換算では5.5kW~41kW 程度。2000㎡以上を対象にするのは、国の「建築物省エネ法」で、大規模建築物の2000㎡以上に対して同法への適合義務を課していることを踏まえている。

 

 設置する再エネ設備は太陽光発電設備のほか、太陽熱利用設備、バイオマス利用設備、風力発電設備、 地熱発電設備、再生可能エネルギー直接利用設備 等とする。再エネ電力調達については、一定条件を満たす場合制度対象に含める。日影等の条件を加えた除外規定を設ける。

 

 「義務制度2」として、延床面積2000㎡未満の新築建築物の場合、建築主ではなく、供給事業者に対して設置を義務づける。義務対象者は、市内建築物を年間5000㎡以上供給する事業者とする。再エネ電力の調達は認めない。対象設備は太陽光発電設備とし、日影等の除外規定も設ける。市の試算によると、義務制度2の対象事業者は、市内600社中23社。年間受注数の合計は、市内新築建築物の約56%に相当する。

 

 「義務制度3」として、延床面積10㎡以上の新築・増築の場合の場合、建築士に対して建築主へ建物に設置できる再エネ利用設備を、書面を交付して説明することを義務付ける。

https://www.city.kawasaki.jp/300/cmsfiles/contents/0000140/140745/2_siryou4-1.pdf