米カリフォルニア州、2035年までにガソリン車の新車販売を全面禁止に。電気自動車等のゼロエミッション車（ZEV）に限定。他の17州も同様の規制導入の方向（RIEF）

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米カリフォルニア州、2035年までにガソリン車の新車販売を全面禁止に。電気自動車等のゼロエミッション車（ZEV）に限定。他の17州も同様の規制導入の方向（RIEF）

2022-08-26 20:50:28

　米カリフォルニア州の大気資源局（CARB）は25日、2035年までにガソリンを燃料とする新車の州内での販売を全面禁止する新規制案を決定した。禁止対象にはハイブリッド車（HV）も含まれる。電気自動車（EV）か、プラグインハイブリッド車（PHV）等のゼロエミッション車（ZV）に限定する。各自動車メーカーは、26年から段階的にZV販売比率を高めることを義務付けられる。同州以外にも17州が同州の規制に同意しており、ガソリン車撤廃は全米に広がりそうだ。

　カリフォルニア州では2020年9月に、ギャビン・ニューサム知事が2035年までのガソリン車の撤廃を打ち出した。これを受けて、CARBは規制案をほぼ2年かけて作成。25日に2回の公聴会を開いて州民の意見を聴衆したうえで、同日、案を可決した。

　CARB議長のLiane Randolph氏は「カリフォルニアにとって、われわれと連帯する他州にとって、そして世界にとって、ゼロエミッションの未来へつながる道筋を決めた歴史的な瞬間だ」と評価している。

　新規制は26年から始め、同年の販売車に占めるEV・PHV、及び燃料電池車（FCV）等を含むZVの比率を、同年は35%、30年は68%、35年に100%にまで高める。逆にガソリン車等の販売比率は引き下げられることになる。規制値を満たさせない自動車メーカーには未達成分について1台当たり最大2万㌦（約270万円）の罰金を科す。

　PHVも35年以降、販売を認められるが、CARBは原則として排ガスを全く出さない車の普及を目指しており、PHVを算入する場合は、自動車メーカーごとに設定するZEV販売台数に占めるPHV比率を20%以下とする。PHVの制限付き認定はPHVに力を入れるトヨタへの配慮とみられる。しかし、現在は新車販売の10%強でトヨタが最も強いHVは段階的に市場退出を迫られる。

　今回の決定の2日前、トヨタは、カリフォルニア州の排ガス基準を設定する権限を認めることに同意したと発表した。トヨタはトランプ前政権時に、ゼネラル・モーターーズ（GM）等とともに、連邦政府より厳しい規制を課す同州の権限に異議を唱える訴訟に加わっていたが、23日の発表でCARの権限を認めることを同州に伝えていた。

　同州ではこれまでも各自動車メーカーに販売台数の一定割合をZEVとすることを義務付ける規制を実施してきた。その場合、規制値を満たせない自動車メーカーは超過して達成した他社からカーボンクレジット（排出枠）を購入することで罰金の徴収等を回避できていた。

　最大のクレジットの売り手であるテスラは、今年第一四半期決算でクレジット売却益が6億7900万㌦（約872億円）と過去最高額を記録している。しかし、CARBは26年から始まる新たな規制案では、ZEVの普及を優先するため、クレジットでの調整の仕組みは用いないとしている。

　新規制によって、2030年までに新車で販売されるガソリン車は現行の規制のままよりも、290万台少なくなり、35年までにはこれらの伝統的な自動車は950万台少なくなると見込まれる。

　CARBが可決した規制案はすでに州議会の支持を得ており、今後は法令案を審査する州の担当部局の承認等の手続きを経て、今秋にも正式決定する。

　連邦政府の自動車排ガス規制は2026年までしか設定しておらず、ZEVモデルの導入スケジュールは示されていない。環境保護庁（EPA）は現在、少なくとも2030年までの次の規制案作りに入っている。一方、カリフォルニア州の規制に同意する州は17州に上っており、このうち15州は同州と同じZEV規制を支持しているという。これらの17州はトランプ政権時代のEPAがカリフォルニア州の独自権限はく奪を命じた際に、EPAに対抗してきた。

　ガソリン車の新車販売禁止は、すでにEUが2035年までに域内全域で実施する方針を打ち出している。カリフォルニア州の新規制は、米国内ではEPAの連邦規制強化を後押しし、米国外でも自動車からのCO2排出削減と、輸送分野での石油依存を減らす規制モデルになっていく可能性が強い。日本のZEV規制にも影響を及ぼしそうだ。