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ニューヨーク州等の民主党主導の17州とコロンビア特別区。トランプ大統領が洋上風力発電の操業停止を命じた覚書の撤回を求め提訴。風力産業とクリーンエネ供給源破壊の恐れ、と主張(RIEF)

2025-05-06 21:43:20

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写真は、ニューヨーク沖合で稼働中の風力発電=ロードス島に属するブロック島沖合に設置されている=APより引用)

 

 トランプ米大統領が、風力発電事業の操業を停止を命じる大統領命令(覚書)を出した措置の撤回を求めて、ニューヨーク、カリフォルニア、マサチューセッツ等の17の州とコロンビア特別区が、5日、マサチューセッツ州の連邦地方裁判所に共同で提訴した。原告らは、大統領の措置は、同事業の停止措置を決める詳細な説明を一切示さず、連邦行政法に反する権限濫用だと主張。裁判所に対して、関連省庁がトランプ氏の指示を実施することを禁止するよう命じることを求めている。

 

 原告に名を連ねたのは、NY等の3州とコロンビア特別区のほか、アリゾナ、コロラド、コネチカット、デラウェア、、イリノイ、メイン、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ニュージャージー、ニューメキシコ、オレゴン、ロードアイランド、ワシントンの各州。

 

 トランプ氏は就任した1月20日に発出した大統領令で洋上風力発電事業を担当する行政機関に対し、同発電用の公有地のリース販売を停止し、陸上と洋上の風力発電プロジェクトに関する許可、リース、融資の発行を停止するよう指示した。同時に、大統領選で掲げた「drill baby drill政策」に基づく石油・ガス等の事業に従事する国内化石燃料産業への政府の支援を強化し、生産量を最大化するための措置を講じるとした。

 

 大統領令を受け、米内務省長官のダグ・バーグム(Douglas Burgum)氏は4月に入って、ノルウェーのエネルギー企業エクイノールが進めていたニューヨーク沖での洋上風力発電事業(Empire Wind)計画の建設を停止するよう、海洋エネルギー管理局の代行局長に指示した。同計画以外にも、複数の風力発電事業計画も中断状態になっている。

 

 これに対して、今回17州当局が共同で提訴した文書によると、トランプ氏の指示を受け、各行政機関は洋上風力発電所事業への土地のリース販売や許認可事業について、停止等の判断を示したが、それらの行動は、長年支持されてきた風力発電開発支援政策を突然変更する理由を説明していない。また現行の各風力発電プロジェクトが、環境への悪影響を最小限に抑えながら進められている、と評価してきた政府のこれまでの調査結果から、逸脱した政策だと指摘している。

 

 さらに、連邦議会は大統領に風力発電プロジェクトを全面的に停止する権限を付与しておらず、大統領令に基づいて停止措置等を実施した行政機関は、大気清浄化法(クリーンエア法)、絶滅危惧種法、外大陸棚土地法を含む複数の法律で定められている法的権限を超える形で停止措置を講じたと批判している。

 

 トランプ政権は国内の石油・ガス、さらには石炭等の化石燃料の活用を強調しているが、同様に国内エネルギーである風力発電については、「国内エネルギー」の定義の範疇からも除外している。トランプ氏自身、昨年、大統領選挙期間中には「(洋上風力発電事業は)コストが高すぎるとともに、クジラや鳥に害を及ぼす」として、洋上風力発電事業の廃止を約束していた。

 

 また大統領令で、洋上風力発電事業への許認可の一時停止を発表する際には、その理由として、再び同事業のコストの高さをあげるとともに、「美しい景観を台無しにする」とも述べている。だが、トランプ氏が指摘する「クジラや鳥への害」や「景観」への影響などの反対理由は、科学的手法で対策をとれることが他の地域での風力発電計画で評価されており、とってつけたような反対理由と言わざるを得ない。

 

 「drill政策」で沿岸部の海域での石油・ガス等の開発を進めるうえで、同じ海域を利用する洋上風力発電事業との調整を回避するための「方便」での反対論の可能性が高い。提訴した州当局の関係者らも、沿岸の大陸棚開発で競合する石油・ガスセクターの事業を優先することが狙いとの見方を示している。

 

 ニューヨーク州司法長官のレティシア・ジェームズ(Letitia James )氏は「トランプ政権は、わが国で最も急速に成長しているクリーンで信頼性が高く、手頃な価格のエネルギー源の一つを破壊している」と、トランプ氏の「洋上風力嫌い」を批判している。

 

 原告団は、同政権の洋上風力発電事業に対する無期限の停止措置は違法なので、同指示に基づき、商務省、内務省、環境保護庁を含む関連機関が実施する行政措置を禁止するよう、裁判所に命令を出すことを求めている。しかし、大統領の報道官は「民主党の州の司法長官たちが大統領の人気のエネルギー政策を阻止するために法廷闘争を利用している。米国民は大統領に米国のエネルギー優位性を回復させるよう投票した。民主党の過激な気候変動政策の代償を、共和党主導州の米国人が支払うべきではない」と反論している。

https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/znpnjonlypl/05052025wind.pdf
https://www.npr.org/2025/05/05/g-s1-64393/states-wind-energy-lawsuit-trump-administration