ベトナムの不正バイオマス燃料輸入問題。4年前のFSC(森林管理協議会)の偽証摘発にも拘らず、現在も日本のFIT制度の管理の緩さを見抜く形で不正輸入継続。FSC調査等で判明(RIEF)
2025-10-09 11:33:30
- (
写真
ベトナムから輸入されたバイオマス燃料に、品質不良品や認証偽装の木質ペレットが大量に混入していた問題が2022年に発覚したが、その後、森林認証を付与する民間のFSC (森林管理協議会:Forest Stewardship Council)が定期的に実施している調査の最終版で、取引データを提出しないなど品質に疑念のある6事業者がFSCから認証を取り消されるなどの処分を受けたことがわかった。FSCはこれらの事業者による輸出品が日本の固定価格買取制度(FIT)のバイオマス発電燃料になっているかどうかについては明言していない。だが、韓国が今年1月に同発電向け燃料輸入への補助金制度を廃止した一方で、日本政府が現在もバイオマス燃料の利用を引き続き奨励していることに言及する形で、日本政府の対応の必要性を示唆しているとみられている。
ベトナム産の木質ペレットに、認証偽造の製品が多数含まれている問題は、2020年以前から市場関係者の間で浮上していた。その後、FSCはFSC認証の監査機関であるASI(Assurance Service International)と連携し、2021年3月からアジア地域でのFSC認証木質ペレットサプライチェーンの取引情報の照合調査を始めた。その結果、2022年1月、日本や韓国に大量輸出してきた大手のAn Viet Phat Energy(AVP)社の製品に認証偽装製品が含まれているとの懸念が高まり、最終的に同社をFSC認証制度から排除した。https://rief-jp.org/ct10/129368?ctid=
FSCはその後、ASIとともに、2023年からAVT以外に不正がないかどうかを調べるため、ベトナムにおける森林管理の取引情報の照合調査を開始した。FSC認証林から伐採され、木質ペレット製造業者に販売される木材の取引パターンと量を追跡するために、ベトナム国内の24万1600haを超える森林を対象に、56の森林管理認証取得社と368のCoC(管理証明)取得者の取引データを収集し、調査を広げた。

調査結果はこれまで2回にわたって公表されており、今回は最終調査結果として全体を取りまとめた。その結果、調査過程で、取引データの提出要求に応じなかった6つの認証取得者が認証機関によって認証を取り消されたほか、自主的に認証を取り下げた組織も出た。調査を担当したASIはこのうち3件の認証取得者について、FSCシステムからの「認証停止とブロック(除外)」をするようFSCに勧告。現在、FSCがブロックの手続きを開始した段階としている。意図的に調査を妨害した認証取得者1社についても、同様に認証停止を検討中としている。
同調査によって、AVT以外にも疑惑のある事業者が複数存在し、品質が疑わしい木質ペレットが引き続き、日本等に輸出されてきた可能性が明らかになった。ただ、FSCの調査では、どの国の、どの事業者が、これらの「疑わしい木質ペレット」を輸入したのかについては言及していない。FSCは民間機関であり、主要な輸入先は日本と韓国が国の制度としてバイオマス燃料の輸入を奨励していることから、各国の政策当局の対応に委ねる形をとったとみられる。
FSCのプレスリリースでは、「アジア太平洋地域では、韓国と日本(FIT)がバイオマス燃料の輸入のための補助金制度を設けてきたが、韓国は今年1月に補助金制度を廃止したことと、日本は現在もバイオマス燃料の利用を引き続き奨励している」と指摘している。特に日本については、「ベトナムの木質ペレット製造業者は日本と大規模な取引を行っているため、FSC認証の木質ペレットの需要は非常に高くなっている」と強調している。
木質ペレットの認証偽証や、不正輸出が起きるのは、日本のFITにおいては、一般木質バイオマス・農産物の収穫に伴って生じるバイオマス固体燃料を燃料とする発電(輸入材やパーム椰子殻、剪定材などを対象)の場合、1kWh当たり調達額が24円(1万kW未満)となるが、一般廃棄物・その他バイオマスだと同17円、建設資材廃棄物は同13円と、値が下がる仕組みとなっている。このため海外の事業者の中には燃料の品質を偽って、単価24円の一般木質バイオマスに偽装するケースが少なくないという。
FITの買い上げ価格が燃料の偽装によって、高いランクで買い上げられていたとすると、それに伴い、国民が負担する電力料金に含まれる再エネ賦課金も本来の水準よりも高く支払わされてきたことになる。この点でFSCの偽装認証把握の後、日本の国会でもこの問題が取り上げられている。2022年12月22日の衆院環境委員会でFITを担当する経済産業省資源エネルギー庁省エネ・新エネ部長は立憲民主党議員の質問に対して「FIT等に基づく発電に(偽装燃料)が使用されている事実はないと現時点で認識している」と答えている。https://rief-jp.org/ct10/131485?ctid=
経産省官僚は関係業界へのヒアリングの結果を明らかにしたとしている。だが、ヒアリングの対象となった業界は木質ペレットを輸入した商社、運んだ海運会社、ペレットを購入してバイオマス発電の燃料に充当している発電事業者等の、国内の事業者に限定していたようだ。認証偽装を行った当事者であるAVT等のベトナムの事業者はヒアリングの対象にしたのかどうかは不明だ。FSC等がすでに摘発した認証偽装の当事者を調査の対象外として、「偽装燃料が使用されている事実はないと認識している」と述べるのは「偽証答弁」の可能性もある。
ベトナムからの不正木質ペレットの輸入がその後も継続していることは、国内の発電所で燃料貯蔵庫などでの爆発・火災事故がその後も頻繁に起きていることでもその可能性が示されている。燃料の中に本来は入っているべきでない建設廃棄物等からの金属片等が混在していると、保管庫の中などで自然発火の原因になるなどのケースが指摘されている。https://rief-jp.org/ct4/130119?ctid=
そうした問題が何度も顕在化している現状でも、依然、FITを通じて、偽装燃料や不正燃料等の木質ペレットのベトナムからの輸入が続いている一例として、ベトナムの燃料トレーダー業者が自らのSNSで、同社の輸出用木質ペレットに使用している原材料の樹種として、アカシア、ユーカリ、カシュー、フルーツの木、ゴムの木などをあげ、FSC認証取得済との評価を示す情報を流していることが話題になっている。
このうち、カシュー、フルーツは FITの24円対象の樹種には該当せず、ゴムの木も農地栽培なので森林認証対象ではない。こうしたFIT制度の基本的な仕組みに適合しないと思われる事業者が、自社の燃料をFSC及び欧州でのPEPC認証適合燃料として日本のバイオマス発電所に納入していると説明しているという。中には販売に際しては認証材としないことで、監査の対象外とし、購入した発電会社がFIT適合燃料として報告することで、監査の目をくぐる業者もいるとされる。経産省はこうした企業についても、ヒアリングはすべきだろう。
業界関係者は、木質ペレットと称して、適用対象外の樹種を混在させた燃料を取り扱う事業者がSNS上で、堂々と、同燃料を日本のバイオマス発電所に納入していることを広言していることについて「FITの運用・監督責任を持つ経産省・資源エネルギー庁に輸入燃料を精査する能力がないことを海外の業者に見抜かれ、不正輸入が続いている可能性が濃厚」と指摘している。
(藤井良広)

































Research Institute for Environmental Finance