環境省 中部電、東京ガス・九電グループの2件の大型石炭火力計画に異議、「国の温暖化目標達成を危うくする」。経産省の計画黙認問題も浮上(各紙)
2015-07-27 13:45:58
各紙の報道によると、環境省は中部電力と、東京ガス・九州電力グループがそれぞれ愛知県武豊町と千葉県袖ケ浦市で計画中の大型石炭火力発電について、日本の国際公約である温室効果ガス排出削減目標達成を困難にする恐れがあるとして、環境影響評価(環境アセスメント)法に基づき、計画に異議を唱える方針を固めたという。
地球温暖化問題が深刻さを増す中、米欧を中心として石炭開発や石炭火力発電への投資の引き揚げ(Divestment)活動がクローズアップされている。これに対して、わが国では経済産業省が、原発再稼働と連動させる形で石炭火力発電の建設に何ら歯止めをかけず、黙認する姿勢をとってきた。国際的にも日本の「石炭火力シフト」への疑問が出ている。
環境省は内外の批判を受けて、今年の6月、大阪ガスとJパワーなどが山口県宇部市で進める同様の石炭火力計画について「是認しがたい」との望月環境相名の意見書を経済産業相に提出した。これを受け、宮沢経産相は事業者に対して是正指導を出した。今回の2件も同様に温室効果ガス排出量増大につながるため、アセスメントでの修正を求める形をとる。
中部電の計画は石油火力から石炭火力に切り替えるもので、総出力は107万kW。2018年度に着工し、21年度の運転開始を目指している。東ガス九電グループの計画は総出力200万kWで、出光興産を含めた3社が出資する「千葉袖ケ浦エナジー」が運営する。20年代半ばの運転開始を目指している。前者は8月14日に環境アセスの審査期限となり、後者は同28日が期限となる。環境省はそれぞれの建設について異議を唱える意見書を提出する予定だ。
アセス法では周辺環境への影響などを調べ、政府が計画の認否を判断することを定めている。石炭火力の場合、環境相が経産相に対して意見書を2回提出する。この手続きに基づいてに事業者側は計画を変更したり、場合によっては事業自体を中止したりする例もある。
石炭火力は最新鋭のガス化設備を用いても同じ電力量で二酸化炭素(CO2)を天然ガス火力の約2倍排出する。また発電所は一度建設すると、稼働期間は数十年間に及ぶため、建設許可を与えた後、途中での稼働停止は事実上不可能になる。
政府は、2030年までの温暖化ガス削減目標を決定し、その中で30年でのエネルギー構成のベストミックスとして石炭火力の割合を26%としている。これは13年の30%の水準から引き下げることを意味する。にもかかわらず電力会社を主導として大型の石炭火力発電計画が目白押しになるのは、政府の目標設定と、それを実現する具体策のつながりが欠けているためといえる。
環境省が意義を唱える前に、エネルギー計画の実現に責任を負い、かつ電力業界を指導する経産省が適切な方向性を示す必要があるはずだ。


































Research Institute for Environmental Finance