日本政策金融公庫、暴力団関連企業に融資枠を設定。融資実績は公表せず。民間金融機関より「わきの甘さ」露呈(各紙)
2018-08-17 13:09:20
各紙の報道によると、政府系金融機関の日本政策金融公庫が暴力団組員が代表を務める会社と融資契約を結んでいたことが16日わかった。2016年に同社に対し、一定の範囲内で自由に借り入れできる融資枠を設定していた。民間金融機関は暴力対策法によって、暴力団関係の企業、個人への融資を禁じられているが、政府機関の「わきの甘さ」が露呈した形だ。
問題が発覚した融資契約先の代表は今年、警視庁に恐喝容疑で逮捕された指定暴力団の組員。報道によると、日本公庫の東京都内の支店が16年1月、この会社に対して不動産を担保に2000万円を限度に自由に借り入れができる融資枠を設定したという。同契約に基づいて、実際にどれだけの金額を借り入れたかは、日本公庫は把握している模様だが、日本公庫は「個別の取引についてはコメントできない」としている。
しかし、暴対法では、金融機関と反社会的勢力の取引を禁じており、発覚すると金融庁から業務停止処分等を受ける可能性がある。最近でも、シェアハウスを巡る不正融資問題が起きたスルガ銀行で、暴力団組員に住宅購入資金を貸した疑いのあることがわかっている。
全国銀行協会は反社会的勢力との関係を絶つための基本方針を策定。今年1月からは預金保険機構を通じて警察庁のデータを取得する仕組みも導入するなど、顧客が暴力団組員でないかどうか確認する情報の入手先を広げて対応を強化している。しかし、日本公庫は全銀協に加盟していない。ただ、加盟していなくても暴対法の適用は受ける。
日本公庫の融資審査については、これまでも、民間金融機関に比べて、審査が緩いことが指摘されてきた。今回の暴力団向け融資についても、公庫のウェブサイトでは、情報開示されていない。「民間金融より緩い」公庫のリスク管理体制の再検証が求められる。