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今年第一四半期(1~3月)のグリーンボンド等GSS債市場、新型コロナウイルス問題による債券市場の環境悪化で急減。3月のソーシャル&サステナビリティボンドは急増(RIEF)

2020-04-05 21:16:10

coronabond1キャプチャ

 

 新型コロナウイルス感染の拡大で、グリーンファイナンス市場も異変が起きている。今年第一四半期(1~3月)のグローバル市場でのグリーンボンドやソーシャルボンド、サステナビリティボンド(GSS)の総発行本数は22本で、前年の68本から急減した。発行額ベースでは480億㌦で前年同期比25%減と、発行本数の減少よりは限定的だが、コロナウイルスの感染拡大が進んだ3月は、グリーンボンドとソーシャルボンドで際立った相違がみられている。

 

 英Environmental Financeのデータベースによると、グリーンボンドは、1月、2月合計発行額で290億㌦だったが、3月は50億㌦と急減した。3月の発行額は前年(150億㌦)の3分の1でしかない。英Climate Bonds Initiative(CBI)のデータでは、1月、2月がそれぞれ155億㌦、156億㌦と安定的に推移していたが、3月は18億㌦と急減している。第一四半期合計では329億㌦で、前年同期(479億㌦)比では31%減。

 

 EFとCBIの違いは、中国の国内ガイドラインに準拠したグリーンボンドの扱いの違いのほか、発行期日の位置づけの違いなどで差がついているとみられる。ただ、いずれもデータでもコロナウイルス感染がグローバルに拡大した3月にはグリーンボンド発行に急ブレーキがかかっていることがわかる。基本的には債券市場環境の悪化が債券発行全体の抑制につながっている。

 

 グリーンボンドの急減と対照的なのが、ソーシャルボンドとサステナビリティボンドの動きだ。コロナウイルス対策資金を調達するため、世界銀行や他の国際公的金融機関が、それぞれソーシャルボンドやサステナビリティボンドとして、合計60億㌦を3月に入って発行したためだ。

 

 3月中のサステナビリティボンドは、米州開発銀行(20億㌦)、北欧開発銀行(NIB:10億㌦)、欧州投資銀行(EIB:30億スウェーデンクローナ=2億9900万㌦)、ソーシャルボンドは、アフリカ開発銀行(AfDB=30億㌦)、国際金融公社(IFC=30億スウェーデンクローナ=2億9900万㌦)。さらにフランス政府も、コロナウイルス対策資金調達でグリーンボンドでの発行を目指している。http://rief-jp.org/ct6/100827?ctid=69

http://rief-jp.org/ct6/100459?ctid=69

  http://rief-jp.org/ct6/100904?ctid=66

Covid1キャプチャ

 

 サステナビリティボンドは、1、2月合計で21億㌦だったが、3月1カ月だけで2.5倍の54億㌦の発行額となった。ソーシャルボンドも3月は前2か月の倍の発行規模となっている。

 

https://www.climatebonds.net/