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米ExxonMobile、ダウ平均株価から除外。採用から92年の歴史に幕。テク産業重視の入れ替え。環境NGOらは歓迎(RIEF)

2020-08-26 17:57:17

Exxonキャプチャ

 

  米株式市場の代表的指数であるダウ平均株価(ダウジョーンズ 産業平均)の代表銘柄であったExxonMobile が除外された。 Exxonは1928年に同指数に採用されて以来、継続採用されていたが、原油市場の低下、温暖化対応等で企業価値を減少させていた。同時に、製薬会社のファイザー、航空機産業のレイセオンテクノロジーズも除外され、セールスフォース等と入れ替えられた。

 

 ダウ平均株価は、S&Pダウジョーンズが算出する米国の代表的株価指数。1884年以降、ダウジョーンズ平均として銘柄11社で公表され、1928年から現在と同じ30銘柄になっている。当時、「Standard Oil of New Jersey」だったExxonは、それ以来、常連株として組み込まれてきた。

 

 Exxonは2013年に、時価総額が4180億㌦(約43兆9000億円)と過去最高の評価を得ていた。しかし、その後、温暖化の進展による石油・ガス等の化石燃料価格の下落、原油価格の不安定化と下落、米経済の構造改革の進展等の影響を受けている。今年に入ってからも株価は40%下落している。

 

 今回の3社の入れ替えは、過去7年のダウ平均指数の入れ替えでも最大級のものとされる。S&P側の判断は公式には発表されていないが、市場では、Exxon等の旧来型産業の評価を下げ、米新興テク産業を重視したとみられている。

 

 Exxonと交代したセールスフォースはクラウドコンピューティングサービスの急成長企業。株価は2009年以来、27倍に上昇している。またアムジェン(Amgen)は、独立系のバイオテクノロジー会社。ファイザーとの入れ替わりとなった。レイソンの代わりにはハネウェル・インターナショナルが入った。

 

 今回の銘柄入れ替えは、新型コロナウイルス感染の影響も反映しているとの見方もある。ダウ平均は、コロナ前の2月のピーク時に比べて、現時点でまだ4.2%低い水準。これに対して、IT企業等の構成が多いNasdaq100は、すでにコロナ前より20%上昇している。旧来型産業からテク産業への入れ替えの必要性はこの点でも示されていたといえる。

 

 今回の入れ替えでダウ平均に残る石油メジャーは、シェブロン一社。「メジャーが米経済を牽引する時代」は終わったといえそうだ。

 

 Exxonのダウ平均からの除外に対して、環境NGOなどは歓迎している。350.orgの代表、May Boeve氏は「『Big Oil』が崩れていこうとしている。Exxonは長年、気候変動の原因を知りながら、嘘をついてきた企業だ。その結果、地球上に森林火災、豪雨、洪水、干害、海面上昇等の気候変動が広がっている。金融界もやっと目覚めてきたようだ」とコメントしている。

 

 気候科学者のPeter Gleick氏も「Exxonがダウ平均から除外されたことは、歴史上の一つのマイルストーンだ。化石燃料は死につつある。このことを多くの人が知らねばならない」としている。

 

 Exxonoのスポークスマンは、英紙の質問に対して、「今回のことは、我々のビジネスに影響を与えないだけでなく、我々の戦略を支える長期基盤にも影響を及ぼさない。われわれのポートフォリオは、過去20年間で最も強固になっている。我々は世界のエネルギー需要に責任をもって対応することで、株主価値を高めることに全力を尽くしていく」とコメントしている。

https://corporate.exxonmobil.com/

https://www.independent.co.uk/environment/oil-gas-fossil-fuel-exxon-mobil-environment-climate-crisis-a9688526.html