メキシコ政府、世界初のSDGsボンド国債発行。8億9000万㌦。資金使途は、SDGsの17目標のうち5つの目標。国連開発計画(UNDP)がサポート(RIEF)
2020-09-17 13:45:48
メキシコは国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成に照準を絞った世界初となるSDGsボンド国債を発行した。資金使途はSDGsの「飢餓をゼロに(第2目標)」「すべての人に健康と福祉を(第3目標)」等の5つの目標をターゲットにする。発行額は8億9000万㌦(約935億円)。国連開発計画(UNDP)がメキシコ政府のフレームワークづくりに協力した。UNDPではSDGsボンド国債の発行を他の国にも広めたいとしている。
同国債は期間7年。クーポンレートは1.3%。内外の多くの投資家が応募し、応募額は発行額を6.4倍上回る56億9600万㌦に達した。メキシコ政府発行の国債であることと、SDGs達成に焦点を絞り込んでいるため、ESG投資を拡大したい機関投資家のニーズにマッチしたとみられる。
資金使途は、第2、第3目標のほか、「質の高い教育をみんなに(第4目標)」、「働きがいも経済成長も(第8目標)」、「産業と技術革新の基盤をつくろう(第9目標)」の5目標。社会課題と途上国の経済基盤強化の両方を対象としており、これまでのソーシャルボンド、サステナビリティボンドとも資金使途範囲が異なる。
これらの資金使途は、メキシコ国内のもっとも貧困層の居住地域の改善を目的として投じられることから、SDGsの第一目標である「貧困をなくそう」もターゲットに入っているといえる。
初のSDGsボンド国債のフレームワークは、UNDPの協力の下、仏投資銀行Natixisが2月に開発していた。主幹事は仏銀BNP Paribas、セカンドオピニオンはVigeo Eirisが務めた。
新国債の設計に協力したUNDPのAchim Steiner氏は「今回のメキシコのSDGsボンドはSDGsを大規模に推進するうえで、重要なステップになる。民間金融市場の資金をSDGs関連事業に誘導するうえでの革新的なメカニズムとなるだろう。他の国々も、メキシコに続いて、こうしたファイナンスを広めてほしい」と語っている。
UNDPはフレームワークのクライテリアづくり等にも関与したほか、インパクトレポートにも意見を出している。こうした国連機関の関与は、投資家にとって、フレームワークの透明性確保と、レポーティングへの信頼性向上を担保する効果につながっているといえる。
メキシコ政府は「今回、わが国はサステナブルファイナンス・プログラムを立ち上げ、革新的なサステナブルファイナンスの最先端金融商品を提供できることになった。今回の新国債発行で、わが国の事業への国際的な投資家、ファンド等の投資機会を提供できることになる」と強調している。