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欧州の資産運用大手Robeco、傘下のサステナブル投資専門のRobecoSAMブランドを「吸収」。サステナブル投資をグループ全体の柱に。歴史的な「SAM」の名の消滅を惜しむ声も(RIEF)

2020-11-05 19:18:33

RobecoSAMキャプチャ

 

   オリックスグループで、欧州の大手資産運用会社であるRobeco(オランダ)は、サステナビリティ投資分野で別ブランドで展開するRobecoSAM(スイス)の名称を廃止し、Robecoに統一すると公表した。RobecoSAMはRobecoがスイスの先行的なESG運用会社Sustainable Asset Management(SAM)を2006年に買収後も、SAMの企業ブランドを維持してきた。だが、Robeco全体がサステナブル投資を重視する流れの中で、企業ブランドの統一を図ることになったという。

 

 企業ブラント統合の結果、RobecoSAMはRobeco Switzerland Ltd.となる。ただ、RobecoSAMが提供しているサステナビリティの各種テーマ型ファンド等の商品名称はそのまま継続されるので、SAMの名は残る。資産運用額67億ユーロのポートフォリオのうち、 RobecoSAM Smart Energy FundやRobecoSAM Smart Materials Fundなどだ。ESG評価のスコアモデルであるRobecoSAM Smart ESG Scores、RobecoSAM SDG Scoresなどもそのまま活用される見通しだ。

 

 Robecoは今回のリブランド化について、RobecoSAMが現在実施しているポートフォリオマネジメントやサステナブル投資、マーケティング等のビジネス活動には影響はない、としている。スイスの本拠地チューリッヒでの約100人の従業員も変わりはないという。しかし、ESGやサステナブルファイナンスの関係者の間では、SAMの名が消えることに、惜別の思いと時代の変化を感じる向きも少なくないと思われる。

 

 SAMは1995年に、世界最初のサステナビリティだけにフォーカスした投資会社として、Reto Ringger氏が設立した。1999年にはDow Jonesと共同でサステナブル投資の最初のインデックスであるDow Jones Sustainability Indexesを立ち上げた。2001年には、最初のサステナブル・ウォーターファンドを、さらにスイスで最初のカーボン・ニュートラル企業にもなった。投資と事業活動の両方でサステナビリティを実践してきたわけだ。

 

 しかし、ESG、サステナブル投資が広がる中、2006年にオランダのRobecoに買収された。2010年にはRobecoのスイス法人と合併してRobecoSAMに会社名を変更していた。そのRobecoも2013年に、日本のオリックスが90.01%の株を取得して傘下に収めている。今はオリックスグループだがRobecoやRobecoSAMの資金運用等は欧州の運用のプロたちが引き続き担当している。

 

 Robecoのグローバル販売・マーケティングのグローバル責任者のChristoph von Reiche氏は「RobecoとRobecoSAMはブランド統合によって、サステナブル投資の推進に、われわれ双方の力を相互に連携させていく。今回のブランド統合は、われわれの市場での存在感を明瞭にし、サステナブル投資でのグローバルリーダーとしての役割を示すものになると確信している」と述べている。

 

 ESG投資やサステナブルファイナンスの世界では、現在、運用会社、評価会社等の間での合従連衡が進んでいる。そうした動きに先行してきたRobecoとRobecoSAMの統合は、サステナブルファイナンスがメインストリームにさらに一歩、近づいていることを示唆する一例かもしれない。

https://www.robeco.com/en/media/press-releases/2020/brand-changes.html