HOME6. 外国金融機関 |大手会計事務所のPwC、今年から2026年までの間に、世界で10万人を新規雇用。ESG分野の事業ニーズへの対応、うち1割は黒人等のマイノリティ層採用。自らのESG対応も強化(RIEF) |

大手会計事務所のPwC、今年から2026年までの間に、世界で10万人を新規雇用。ESG分野の事業ニーズへの対応、うち1割は黒人等のマイノリティ層採用。自らのESG対応も強化(RIEF)

2021-06-22 14:17:08

PwC002キャプチャ

 

  大手会計事務所のPwCは、 2021年から2026年にかけて全世界でESG関連の人材を中心に、ネットで10万人を新規採用すると発表した。同社では「ニュー・エクエーション(New Equation:新たな方程式)」とするビジョンを掲げた。新規雇用のうち1割の1万人前後は、黒人やヒスパニック等のマイノリティの学生を新規採用する。ESG分野の人材ニーズが高まっていることを受けた人材強化と、PwC自体のESG対応強化を同時に進める形となる。

 

  PwC(プライスウォーターハウスクーパース)は現在、グローバルに157カ国に拠点を置き、28万4000人の人材を抱える。これを2026年までに3分の以上増やすことを目指す。日本ではPwCあらた有限責任監査法人が監査等を提供し、ESG関連はPwCサステナビリティ合同会社がある。

 

 PwCはこの新規ビジョンに120億㌦を投じるとしている。投資額は新規人材の採用、トレーニング、機材・技術の導入等に充当する。新規人材の対象事業は、顧客企業のESG分野でのアドバイザリー等の業務提供が軸になる見通し。気候変動への対応や、サプライチェーンでの人権対応等がグローバルに求められ、企業が外部評価や第三者意見等を求めるケースが増大していることに対応する。

 

 マイノリティ人材も新規に1万人増やすことで、同社の黒人、ヒスパニック系スタッフは2万5000人規模となる。PwC米国の会長のTim Ryan氏は「新規のこれらの人材を獲得するため、インターンシップとトレーニングの機会を設けたい。新規の1万人と既存のマイノリティ人材1万5000人を含め、幅広い社会課題の解決に資する体制を整備したい」としている。

 

 日本を含むアジア・太平洋地域でのビジネスも倍増させるため、基盤整備に30億㌦を投じる。PwCのグローバル会長のBob Moritz氏は「リブランド、再定義のために、人材、インフラに十分な投資をすることで、顧客のニーズ、さらには世界のニーズに合致する価値あるサービスを提供することを確実にできる」と強調している。

 

 PwCは世界の4大会計事務所の一つ。企業の監査のほか、税務関連事業、ESG評価・アドバイザリー業務、技術専門事業等をグローバルに展開している。人材の増強に加えて、インフラ機能の強化として、主要なESG分野の専門家を育てるための新規機関「Centres of Excellence」のほか、PwCの全パートナーやスタッフのESG分野の専門性をアップさせるための「ESG Academy」をグローバル展開する。

 

 投資対象はESG分野のみではなく、監査業務の品質向上を含め、同社全体のインフラ機能を強化し、競争力を高める。また将来の経営層を育成するため「Leadership Institute」をまず米国に設立し、徐々にグローバル展開、1万人以上の経営・管理層育成を進める。AIやクラウド、バーチャルリアリティ等のIT技術の装備も進める。

https://www.pwc.com/gx/en/the-new-equation/the-new-equation-strategy.html