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アジア開発銀行(ADB)、豪ドル、ニュージーランドドル建てで、初のブルーボンド合計約3億㌦分(約330億円)発行。第一生命と明治安田生命が、それぞれを私募で引き受け(RIEF)

2021-09-12 22:15:27

ADB001キャプチャ

 

 アジア開発銀行(ADB)は10日、アジア・太平洋地域の海洋保全等の資金を調達するため、同行初のブルーボンドを発行した。オーストラリアドル建てとニュージーランドドル建ての2本で、合計、3億200万㌦(米㌦換算)。日本の第一生命保険と明治安田生命保険がそれぞれ私募の形で引き受けた。

 

 ADBは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の第14目標である海洋保全に資するため、2019年~2024年にアジア・太平洋地域の海洋環境・資源保全のための行動計画「Action Plan for Healthy Oceans and Sustainable Blue Economies」を推進している。同計画では50億㌦の資金を海洋保全等に充当する予定で、今回のブルーボンド発行はそのための資金調達手段の一つ。

 

 オーストラリアドル建てのボンドは発行額2億800万豪㌦(1億5100万米㌦)、期間15年。一方のニュージーランドドル建ては発行額2億1700万ニュージーランド㌦(1億5100万米㌦)、期間10年。期間が異なるだけで2通貨のデュアルカレンシー債となる。それぞれを第一生命と明治安田生命が全額引き受ける私募投資の形となる。

 

 主幹事は豪ドル債がCitigroup Global Markets Limitedが、ニュージーランド債はCredit Agricole CIBがそれぞれ担当した。セカンドオピニオンは、ノルウェーの「CICERO Shades of Green」が、気候変動の緩和と海洋の保全の両方についての貢献性を評価し、付与した。

 

 資金使途先の事業には、モルディブの首都マレでの廃棄物発電事業が含まれている。観光地として多くの人が訪れる同地だが、その結果、プラスチックやその他の廃棄物による海洋汚染問題に悩まされている。今回の事業は、それらの廃棄物処理とエネルギー確保のために発電施設を建設することで、海洋汚染とCO2削減の両方に貢献することを目指す。

 

 中国の景勝地、黄山の近くを流れるXin’an River(新安江)での生態系保護とグリーン開発事業も含まれる。同事業では農薬や合成肥料の使用を減らしたグリーン農業を支援することで、河口の海洋環境への汚染物質の流れ込みを削減する「海の源(Source to sea)改善事業となる。

 

 ADBの金融・リスクマネジメント担当のバイスプレジデントのIngrid van Wees氏は「今回の2通貨建てのブルーボンドは、ADBのサステナブル海洋ファイナンスのための新たなマイルストーンだ。ADBのブルーボンド・フレームワークを、金融市場でのブルーファイナンスの新たな基準としたい」と述べている。

 

 同サステナブル開発のノレッジマネジメント担当のバイスプレジデントのBambang Susantono氏も「途上国において、持続可能なブルー経済を推進する行動計画は、SDGsの第14目標の達成を確実にし、そうした保全地域の安全と繁栄に貢献するだろう」と強調している。

 

 陸上での再生可能エネルギー事業や省エネ事業等を資金使途とするグリーンファイナンスに比べると、海洋環境の保全や廃棄物除去、持続可能な漁業等に貢献するブルーファイナンスはまだ十分な広がりを見せていない。ADBでは今回のブルーボンドのような金融商品を多様に活用して、投資家に「海洋の健康」への投資を促進していく考えだ。

 

https://www.adb.org/sites/default/files/publication/731026/adb-green-blue-bond-framework.pdf

https://www.adb.org/news/adb-issues-first-blue-bond-ocean-investments

https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2021_035.pdf

https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2021/pdf/20210910_01.pdf