HOME5. 政策関連 |英国、初の個人向け「グリーン貯蓄ボンド」販売。期間3年、オンラインで16歳以上に販売。金利は低金利だが、調達資金は政府の気候対策に充当。「金利より気候対策」とアピール(RIEF) |

英国、初の個人向け「グリーン貯蓄ボンド」販売。期間3年、オンラインで16歳以上に販売。金利は低金利だが、調達資金は政府の気候対策に充当。「金利より気候対策」とアピール(RIEF)

2021-10-22 22:24:06

UKgreenキャプチャ

  英財務省は21日、世界で初と銘打った「グリーン貯蓄ボンド」を発行した。国営の国民貯蓄投資機構(NS&I)がオンラインで販売を担当する。金利は低いが、資金使途は政府のグリーンインフラ事業に充当される。消費者は同ボンド(アカウント)に貯蓄することで、気候変動対策に参加できることになる。

 個人向けのグリーンボンド発行は今年3月に財務省が方針を明らかにしていた。ボンドは期間3年、金利0.65%、最低投資額100ポンドから最高額は10万ポンド。貯蓄可能な人は16歳以上と年齢制限付き。投資家は元利金を3年の満期後にまとめて受けとる仕組み。販売はオンラインでの申込み限定で、当面は21日以降3カ月間受け付ける。投資資金は100%政府保証となる。https://rief-jp.org/ct4/111548

 ただ、0.65%の金利は日本なら「高い」。だが、英国では通常の3年債の利回りが高いもので1.81%もあり、3分の1近い。これだけ金利が低いと、いくら「グリーン」の名前が付いているからと言って、個人投資家が買うかどうか、疑問の声も出ている。

 個人向け金融ウェブサイトMoneyCommsのAndrew Hagger氏は「2万ポンドを投資する場合、受け取る金利は年130ポンド(約2万円)。市場にある3年物で最もいい金利の民間銀行のボンドあるいはアカウントに預ければ、362ポンド(約5万6800円)になる。3年間ではほぼ700ポンド(約11万円)の差になる。これが魅力的か?」と、首を傾げている。

 英政府は、「個人投資家に、政府の環境事業を支援し、気候危機に対する闘いに参加できる」と強調している。英政府は同ボンドの資金の使途として、ゼロエミッションバスの開発、洋上風力発電所事業、洪水対策事業、CO2を吸収する植林事業、環境的に持続可能な農業スキーム等をあげている。

 グリーン貯蓄ボンドは英国で開くCOP26に先駆けて募集されたことで、気候変動対策を求める個人投資家に「低金利でも気候対策支援」への参加を求める形だ。英国では環境NGOの活動も盛んだが、気候対策を求める市民活動のExtinction Rebellion(絶滅への反逆)等も知られる。英財務省は、彼らに同ボンドをセールスするつもりなのかもしれない。

https://www.nsandi.com/green-saving

https://www.moneysavingexpert.com/savings/green-savings-bond/