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ポーランドの公的開発銀行「BGK」。ウクライナの避難民支援「基金」の資金調達で、初のサムライ私募債。発行額930億円の「人道ボンド」。国際協力銀行(JBIC)が信用保証(RIEF)

2023-05-23 16:32:42

BGK001キャプチャ

 

  ポーランドの公的金融機関の「Bank Gospodarstwa Krajowego (BGK)」は24日、日本の円建て市場で同行として初の円建て私募債(サムライ債)を発行する。発行額は930億円。資金使途はロシアのウクライナ侵攻で、ポーランドに避難している多くのウクライナ国民を支援するために、ポーランド政府が設立した「ウクライナ支援基金(Aid Fund)」に充当する。円建て債の発行に際しては、国際協力銀行(JBIC)が信用保証を提供する。戦争避難民を支える人道ボンド(Humanitarian)、あるいはソーシャルボンドともいえる。

 

 BGKが円建て市場で資金調達をするのは今回が初めて。同債券の発行に際して、野村證券、大和証券がアレンジャーとして、みずほ銀行が債券の管理者として、それぞれ参加する。

 

 JBICが発行債券に付与する信用保証は、2010年から実施しているサムライ市場促進のための「サムライ債発行支援ファシリティ(Guarantee and Acquisition toward Tokyo market Enhancement (GATE))」に基づく。GATEでは発行体への信用保証に加え、JBIC自身が一部引き受ける機能も設けている。

 

 BGKは、ポーランド政府100%出資の政府系金融機関。ポーランドの持続可能な社会・経済発展の支援を目的に金融サービスを提供している。今回のサムライ債で調達した資金は、「基金」に充当され、ウクライナ避難民向けの医療・教育・住宅施設等の人道支援に振り向けられる。JBICとBGKは2022年9月、ウクライナ支援を含む広範囲な分野での協力関係を強化する覚書を締結している。

 

 BGKは同時に、米国市場でも初のドル建ての公募ボンドを発行した。発行額は17億5000万㌦(約2400億円)を発行した。ボンドの資金使途は新型コロナウイルス対策のために設定した「COVID-19 Response Fund(FPC-19)」に充当する。米ドル債は米財務証券に190bpの上乗せで、金利は5.375%とした。

 

 BGKの役員会の第一副社長のPaweł Nierada氏は「日本市場でJBICをパートナーとして初めて債券を発行できたことを嬉しく思う。今回の発行は、BGKが広い範囲の投資家にアクセスができ、かつ国際金融市場での強固なポジションを示すものだ」とコメントしている。

 https://media.bgk.pl/243891-bgk-launches-first-jpy-private-placement-bonds

https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2023/0518-017774.html