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米ヘッジファンド「シタデル」。日本の新興の卸売電力業「エナジーグリッド」を買収。買収額は未公表。日本の電力市場の拡大をビジネスチャンスとしてとらえる(各紙)

2024-06-28 12:25:46

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 各紙の報道によると、米ヘッジファンドのシタデルが、日本の卸売電力業のエナジーグリッド(東京)を買収する。シタデルはエナジーグリッドの全株を取得する。シタデルは米国の著名投資家ケン・グリフィン氏が率いる米ヘッジファンドで運用総額630億㌦(約10兆円)で、ヘッジファンドの利益ランキングでは2年連続首位を続けているという。エナジーグリッドは元ゴールドマン・サックス・グループのトレーダーが21年に設立した新興企業。買収額は明らかにされていない。買収は第3四半期(10~12月期)に完了する予定。

 

 日本経済新聞等が報じた。エナジーグリッドは、電力の小売り、卸売取引、商品先物取引、国内企業に電力価格の変動リスクをヘッジするサービス等を提供している。代表取締役は城﨑洋平氏、資本金5850万円。関連事業買収後も、社員は同社にとどまる。

 

 エナジーグリッドは米エンロンや米ゴールドマンサックスなどでエネルギー取引を手がけた城崎氏が2021年に設立。発電所を運営する大手電力会社のほか、電力小売業を手がける新電力等を取引先に抱える。マーケットメーカー(値付け業者)として電力を売買したい取引先・投資家に対して市場価格を示す取引を展開している。

 

シタデル創始者のケン・グリフィン氏

シタデル創始者のケン・グリフィン氏

 

 23年7月時点での取引電力量は98億kWh、金額ベースで2300億円超。現在の相対取引社数は80社強としている。日本の電力小売・卸売市場は、 2016年に自由化され、気候変動の影響を受けた脱炭素化の進展、原発の再稼働等によって、取引価格の変動が大きいが、昨年以降、英BP、仏エンジー、独立系ビトル・グループなどの大手エネルギー関連企業が、日本市場で電力取引の拠点を築くなど、徐々に市場が広がり始めている。

 

 シタデルは、商品部門を運用業務の中心に、株、債券などの幅広い金融市場で取引を展開している。日本の商品市場でも事業展開を模索し、今回、電力分野に照準を定めて、エナジーグリッドの買収を決めたとみられる。シタデルは日本以外のアジア全体で約200人のスタッフを抱えている。

 

 今回の買収は、シタデルのコモディティー部門が主導した。同部門は世界9拠点に180人超の投資の専門家を抱えている。主な取引分野としては、天然ガス、電力、環境、天候などの商品分野の取引や多様な商品・金融商品をマネージするリスク管理のノウハウを持つとされる。エナジーグリッドはシタデルの資本力や知見を生かせれば取引量の拡大につながると判断し、傘下入りを決めたと説明されている。

 

 ウィキペディアによると、シタデルを率いるケン(ケネス)・グリフィン氏は、ハーバード大学在学中に投資活動を始め、卒業後、1990年にシタデルの前身のウェリントン・フィナンシャル・グループを設立。94年にシタデル・インベストメント・グループに社名変更した。2022年末時点で、世界のヘッジファンドの創業来利益でランキング1位と評価されている。同氏は米共和党の強力な献金者としても知られる。

 

https://www.citadelsecurities.com/

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-27/SFQ92NT1UM0W00

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2659X0W4A620C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA