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英保険組合の「ロイズ・オブ・ロンドン」 4月から石炭関連企業への投資停止へ。温暖化進行による自然災害増を懸念。主要保険会社のダイベストメント宣言、15社目に。日本勢はまだゼロ(RIEF)

2018-01-23 21:18:49

Lloyd'sキャプチャ

 

  英国の伝統的な保険市場の「Lloyd’s of London」は、4月から石炭関連企業への投資を停止する、と発表した。石炭関連事業への投資停止、保険引き受け停止を宣言する主要保険会社は、すでに15社に及んでいるが、日本の保険会社はまだ明確なスタンスを示していない。

 

 Lloyd’sは直接、保険を引き受けるわけではなく、約90のシンジケートに引き受け市場を提供する保険組合。投資除外対象となる石炭関連企業の定義づけと、投資引き揚げ(ダイベストメント)のクライテリアを整理し、4月1日から実施する。

 

 Lloyd’sのCEOのInga Beale氏は「われわれが直接影響を及ぼせる投資ポートフォリオにおいて、石炭関連企業への投資を避けるということ。世界が低炭素経済へ移行することを支援するうえで、保険セクターとしては、投資株を(石炭産業から)持続可能で低炭素株にシフトさせることは当然のことだ」と述べた。

 

 保険会社では、フランスのAxaが2015年5月に石炭関連事業の多い企業への投資を停止したのを皮切りに、投資のみならず、保険引き受けも停止する保険会社が欧州系を中心に増えている。

 

 保険会社は温暖化の進行による気候変動の激化で、ハリケーンや洪水、森林火災、干害等、多様な自然災害が悪化し、保険支払額が増大している。気候変動の直接的な影響が本業に及んでいる産業セクターでもある。このため、温暖化を加速化させるCO2排出産業を、投資と保険引き受けの両面で選別する動きが急になっている。

 

 これまでに、石炭関連産業・企業への投資引き揚げ、保険引き受け除外等の方針を打ち出したのは、Axa、Lloyd’sのほか、英Aviva、独 Allianz、英Legal & General、仏SCOR、スイスのSwiss Re、Zurich保険など15社を数える。NGOのUnfriend Coal Networkなどの推計によると、過去2年間で主要保険会社によるダイベストメント額は150億ユーロ(約2兆250億円)に達しているという。

 

  先駆的に石炭産業向けのダイベストメントを実行してきたフランスのAxaは、先月、石炭関連の「関連」の定義を、従来の「石炭関連事業から50%の収入を得ている」から、「30%の収入」に強化している。

 

 グローバルベースで主要な保険会社で構成する「Climate Wise」の分析によると、気候変動の激化による自然災害の増大・甚大化によって、不保険の損害額が増大しているほか、自然災害コストと被保険額のギャップ「プロテクション・ギャップ」は、1980年以来、1000億㌦(約11兆3000億円)へと4倍に膨らんでいるという。

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