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米SASBの創設者だったジーン・ロジャースさん、昨年の退任後、1年を経過し、米独立系資産運用会社のボード入り。自然資本評価の資産運用ビジネスの助言役として(RIEF)

2019-05-14 08:07:03

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  米サステナビリティ会計基準審議会(SASB)の創設者であり、昨年春に退任したジーン・ロジャース(Jean Rogers)さんが、米独立系の資産運用会社の「Terra Alpha Investments」のボードメンバーに加わった。SASBの正式基準化の直前に退任したことで、去就が注目されていたが、ほぼ1年経過し、新たにサステナビリティの世界に戻ってきたことになる。

 

 ロジャースさんはサステナビリティ分野のコンサルタントを9年続けた後、2011年、企業が自社のサステナビリティ関連の情報をSECへの報告書に開示する尺度・ツールが十分ではない、という現状に直面、ならば自分の手で開発しようと、SASBを自宅で立ち上げた。http://rief-jp.org/interview/54422?ctid=34

 

 サンフランシスコで友人たちと、手探りで始めた基準づくりには、ボランティアで多くの企業、会計士、学者らが参加。産業・業種別に、マテリアルなESG項目を特定し、開示の基準を選定するという膨大な作業だったが、当初のスケジュールにほぼ近い形の6年がかりでまとめあげた。筆者(藤井良広)もボランティアでワーキンググループに参画した。

 

TAI1キャプチャ

 

 同氏は、2017年7月までSASBのCEOとして全体をを取り仕切った後、SASB基準理事会議長として、非財務情報開示の手法の整備に取り組んだ。だが、昨年4月に突如、議長職を退任した。SASB基準が暫定基準から正式基準(昨年11月公表)へ移行させる直前での退任となったことから、内部での対立説なども浮上した。http://rief-jp.org/ct4/78893

 

 1年ぶりでサステナビリティの世界に復帰するロジャースさんが参加するTerra Alpha Investmentsは、「環境生産性(Environmental Productivity™ )」と命名した分析フレームワークを開発しており、企業が直面する自然資本制約等を評価したうえでの資産運用分析の手法として知られる。同フレームワークは、自然コストをビジネスや投資判断に統合するためのツールとして位置付けられている。

 

 ロジャースさんとともに、ハーバード大学のサステナビリティファイナンスの専門家であるGeorge Serafeim教授、元米国宇宙航空局(NASA)の宇宙飛行士でもあるCharlie Boden氏らも、Terra社のボードに参画した。

 

   ロジャースさんは、現在、同社以外に、 INSEAD’s Global Institute for Business and Societyのアドバイザー、ハーバード・ケネディスクールのBeck Visiting Social Innovatorも兼任している。

http://www.terraalphainvestments.com/

                                  (藤井良広)