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欧州投資銀行(EIB)、2022年までに化石燃料関連プロジェクト向けの融資をフェーズアウト(段階的停止)すると発表。再エネ等サステナブル投資に10年で1兆ユーロ投融資(RIEF)

2019-11-17 08:21:23

EIB1キャプチャ

 

  欧州投資銀行(EIB)は2022年までに化石燃料発電プロジェクトへの投融資をフェーズアウト(段階的停止)に踏み切ると宣言した。その中には石炭だけでなく、ガスも含む。さらにすべての投融資活動を2020年末までにパリ協定の目標と整合化させる。そのために2030年までの10年間で1兆ユーロ(約120兆円)を気候行動と環境分野のサステナブル投資に投じる。

 

 EIB理事会は、新たなエネルギー融資政策に合意し、EIBが気候行動と環境サステナビリティ分野での野心的行動を高めることを確認した。

 

 EIB総裁の Werner Hoyer氏は「気候は、現代の政治課題において、トップイシュー。科学者の推計によると、現在われわれは地球上の温度が3~4℃上昇に向かっている。もし実際に3~4℃上昇が起きると、地球の大半の地域が、自然災害頻発の結果、居住不適になるだろう。われわれは、これまでも『欧州の気候銀行』として投融資を展開してきたが、さらに飛躍的なジャンプ決意した」と宣言。

 

EIBの総裁
EIBのHoyer総裁

 

 その具体策が「ストップ、化石燃料関連のファイナンス。野心的な気候投資戦略の開始」と位置付けた。そのうえで、EIBの株主である各加盟国およびEU閣僚理事会、欧州委員会、欧州議会、さらに国際機関や金融機関等との協調の推進によって、「2050年までに欧州経済の『気候ニュートラル』の実現を支援する」と目標を掲げた。

 

 同総裁は9月の時点で、同行全体の融資残高の半分を2025年までに気候対策に振り向ける方針を示すとともに、1兆ユーロのサステナブルファイナンスの実施を公表していた。https://rief-jp.org/ct6/93869

 

 

 EIBが新たに打ち出した融資政策は、EIBによるエネルギーセクターへのエンゲージメントを進めることになる5つの原則で示される。

 

 1番目はEU省エネ指令(EU Energy Efficiency Directive)に基づく新たなEU目標を支援する視点から省エネ(エネルギー効率化)を優先する。第2は、2030年までにEU全域で再エネ比率が32%を達することを目指し、低炭素・ゼロカーボン技術への支援増を通じて、エネルギーの脱炭素化ができることを目指す。

 

 3番目として、分散型エネルギー生産へのファイナンスが増え、革新的なエネルギーの貯留やe-mobilityも展開が見込まれるとしている。4番目は風力や太陽光発電の増加に合わせるとともに、国境を超えた相互接続を強化するために電力網(Grid)投資を確実に進めるとしている。

 

 5番目はEU域外のエネルギー転換(Energy Transformation)を支援するためインパクト投資を増やしていく、としている。

 

 EIB理事会は、これらの原則に基づき、気候行動と環境サステナビリティのための新たな戦略を承認した。同戦略は3つのカギとなる要素を含んでいる。

 

 まず、気候行動への1兆ユーロ投資だ。期間は2021年~2030年の10年間をターゲットとしている。次いで、気候行動へのファイナンスのシェアを次第に引き上げ、2025年にはその投融資の50%を気候行動と環境サステナビリティ関連に振り向けるとしている。3つ目は2020年末までにすべての金融行動をパリ協定の原則とゴールに適合させる、としている。

 

 EIB副総裁でエネルギー担当のAndrew McDowell氏は「CO2排出量は2018年が過去最高濃度に達した。われわれはこの流れに屈することなく、緊急に行動せねばならない」と化石燃料向け融資との決別の意義を強調している。

 

 

 化石燃料向け融資に代わる再エネや、エネルギー効率化、エネルギー流通等の分野においては、EIBは過去5年間で、650億ユーロ以上を供給している。それを今後は10年で1兆㌦に増大させることになる。

 

 https://www.eib.org/en/press/all/2019-313-eu-bank-launches-ambitious-new-climate-strategy-and-energy-lending-policy.htm