HOME |英慈善基金3団体、「ESG投資オリンピック」呼びかけ。総額3200万ポンド(約46億円)の資産を「適度な投資リターン」と「環境・社会インパクト」で運用機関に競わせる(RIEF) |

英慈善基金3団体、「ESG投資オリンピック」呼びかけ。総額3200万ポンド(約46億円)の資産を「適度な投資リターン」と「環境・社会インパクト」で運用機関に競わせる(RIEF)

2020-01-16 08:44:57

Olympic1キャプチャ

 

  「ESG投資オリンピック」を、英国の3慈善基金が呼び掛けている。総額3200万ポンド(約45億7600万円)を、「ESG要因の統合、議決権活動、適度な投資リターンと意図的な社会・環境インパクト」がバランスした投資実績の実現で競う、という。真のESG投資力を測る狙いだ。東京オリンピックの年でもあり、日本の運用機関の参加も期待したい。

 

 「投資オリンピック」を実施するのは、いずれも英国の慈善基金で、Friends Provident Foundation、 Joffe Charitable Trust、Blagrave Trustの3団体。The Joffe Trustは税の公正化を目指す基金で、保有資産1000万ポンドを、オリンピックの投資対象資金として全額拠出する。若者支援活動を展開するBlagrave Trustも1300万ポンド全額を拠出する。

 

Olympic3キャプチャ

 

 Friends Provident Foundationは公正で持続可能な経済システムの発展を支援する団体。こちらは総資産3000万ポンドの3分の1に相当する1000万ポンドを拠出する。合計でオリンピックの運用資金は3200万ポンドとなる。

 

 3基金は現在、それぞれの基金の運用を担当している資産運用機関をはじめ、市場でESG運用に力を入れている投資運用機関に対して、「オリンピックへの出場」を呼び掛けている。応募機関が計画するESG投資案を、ミッション主導投資家を集めた場で披露、(投資実行後)その成果をレポートし、ベストプラクティスと投資家の期待に応えたかどうかで「メダル」の色が決まることになる。

 

Olympic4キャプチャ

 

 

 Blagrave Trustの責任者、Jo Wells氏は「われわれは、慈善基金の役割として、すべての保有基金の運用を、自らの投資リターンのためだけではなく、目指すミッションを達成するために使うべきと考える」と述べ、それぞれのミッションに沿ったESG運用普及促進に共同で取り組む考えを説明している。

 

 Friends Provident Foundationの投資エンゲージメントマネジャーのColin Baines氏も「投資オリンピックの狙い」を次のように説明する。

 

Olympic2キャプチャ

 

 「投資保有機関には、自らの投資資金を金融的リターンを超えた目的の実現を目指す方向に動いている。それが、インパクト投資、サステナブル投資、責任投資、グリーン投資、さらにESG投資などのラベル付きファンドの増加に反映している。しかし、これらのファンドの質は非常に多様で、必ずしも投資実績がミッションと適合していないものも少なくない」。

 

 そのうえで、同氏は「今回の『投資オリンピック』開催は、慈善基金や年金基金等のような投資保有機関に、インパクト投資やESG投資の基準に対する高い水準を求める要求が増大していることを、市場に対してシグナルとして伝える意味がある」と語っている。

 

 現在の各慈善団体の資産運用を担っているのは、 BMO Asset Management、Sarasin & Partners、Coutts & Co.となっている。他の資産運用機関にすれば、新たな運用契約を獲得できるチャンスでもある。既存の運用機関は、「まさかオリンピックには出たくない」とは言わないだろう。

 

https://www.friendsprovidentfoundation.org/news/charities-launch-esg-investing-olympics/

https://www.blagravetrust.org/news/