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気候対策を求める直接行動「Extinction Rebellion(絶滅への反逆)」、銀行の石炭火力投融資増大を受け、英イングランド銀行の取り締まり不足に抗議する「石油」ぶちまけ行動(RIEF)

2021-04-04 22:51:54

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 気候変動危機を訴えて直接行動を展開する欧州の「絶滅への反逆(Extinction Rebellion: XR)」グループが、先週の1日、英国やフランス、ベルギー等で一斉に、銀行による石炭火力発電投融資の増大に抗議するキャンペー活動を展開した。ロンドンでは、中央銀行のイングランド銀行(BOE)の壁に「石油」をぶちまけた。日本の3メガバンクを含む世界の60の大手銀行が化石燃料企業への投融資を続けていることへの抗議で、BOEにそうした金融機関の取り締まりを求めた抗議行動だ。

 

 (写真は、BOEの壁にぶちまけられた「石油」)

 

 XRの過激行動は、4月1日のエイプリルフールに合わせて、「化石フール」と名付けた環境デモの日として行われた。ただ、歴史的建造物でもあるBOEの壁を覆った「石油」は本物ではなく、大豆等から作られた「フェイクオイル」。しかし、一見、本物の石油の様なドロドロした形状で、壁面に、「ノーモア・フォッシル・フール」と描かれた。

 

 XRの抗議行動は、環境NGOのレインフォレストネットワーク(RAN)などが3月末に公表した、世界の主要60の金融機関の「化石燃料ファイナンス成績表 2021」で、パリ協定後の2016年から昨年2020年までの5年間で、石炭・石油・ガスの化石燃料事業に合計で約3兆8000億㌦(約413兆円)に達したことへの反発だ。化石燃料ファイファンスの上位には日本の3メガバンクもそろっている。http://rief-jp.org/ct6/112272?ctid=67

 

「フェイクオイル」とはいえ、痛々しい。
「フェイクオイル」とはいえ、痛々しい。

 

 BOEへの「石油ぶちまけ」は、こうした抗議行動を象徴するもので、金融機関を監督するBOEに対して「本気でやれ!」とのゲキだ。EXは、金融機関が現状のような投融資行動を続けると世界の気温上昇は、パリ協定の目標を大きく上回る「3.5℃」となり、社会は壊滅的な打撃を受けると危機感を強めている。

 

 XRメンバーのRobert Wheeldon氏は「BOEは化石燃料への巨大な資金供給機関を規制する義務を全く放棄している。気候危機は、銀行が利益追求しか目指さない姿勢を改めない限り、避けられない。BOE等の金融監督機関は、銀行が化石燃料産業への資金支援を継続し、自然破壊を続けることを不可能にする必要がある」と強調している。

 

 XRの抗議者たちは、シティ・オブ・ロンドンの警官によって、4人が器物損壊容疑で、一人が不法侵入容疑で逮捕された。ロンドン以外でもCOP26の開催予定地のグラスゴーのほか、ブライトン、ケンブリッジ、コーンウォール等の英国の都市で抗議行動が展開された。またパリ、ブリュッセル、メルボルン等の主要都市でも、銀行に向けた抗議デモ等が実施された。

 

 XRは2018年5月に、英国の科学者たちによる公開書簡を元に設立された。多数の市民団体、NGOらを巻き込んで、市民による気候変動への不服従活動を展開している。2019年4月にはロンドン中心部のウェストミンスターやおっくふフォードサーカス等を人海作戦で10日間にわたって占拠、意図的に市民生活に混乱を招き、不十分な温暖化対策しかしない政府に対する実力行使での抗議行動を実行した。https://rief-jp.org/ct12/94760

 

 XRへの共感者は世界中に広がっているが、日本ではまだ本格的な抗議活動は展開されていない。しかし、今回、彼らが抗議の理由とした銀行による石炭火力発電投融資ランキングでは、三菱FJフィナンシャル・グループ(MUFG)が6位、みずほフィナンシャル・グループ8位、三井住友フィナンシャルグループ18位と高位につけている。いずれ日本の銀行をターゲットにする行動が展開されるかもしれない。

https://rebellion.global/