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環境NGO3団体、メガバンク3グループの気候関連政策を比較検証。みずほが「もっとも進んだ方針」と評価される。石炭採掘向け投融資原則禁止とした点等が評価(RIEF)

2021-06-22 13:11:14

KIKO0022キャプチャ

 

  気候ネットワーク(KIKO)等の環境NGO3団体は、今年に入って改定されたメガバンク3グループの気候関連ポリシーの比較検証結果をまとめた。全体的に点数は低いものの、総合評価では、みずほが「もっとも進んだ方針」とされた。みずほは石炭採掘への投融資を原則禁止にした点等が評価された。

 

 評価をしたのはKIKOのほか、350.org.Japan、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)の3団体。23日から始まるメガバンクの株主総会を前に、各行の最新の気候関連ポリシーを比較し、評価した。評価は、「脱炭素目標」「投融資ポートフォリオ全体の排出量の計測へのコミットメント」「石炭火力」「炭鉱(石炭採掘)」「石油・ガス」「パーム油」「他の森林リスク産品」「包括的な人権方針」「セクター方針の適用対象」の9項目。

 

 3メガのうち、みずほが特に評価されたポイントは、石炭採掘への投融資原則禁止のほか、石炭火力、炭鉱、石油・ガスの各セクターを主たる事業とする企業の移行リスクに関するエンゲージメント強化方針を打ち出した点、セクター方針の適用範囲を全グループ企業の投融資に適用する点、としている。

 

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 石炭採掘について、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、山頂除去採掘(MTR)方式の採掘のみ禁止対象で、通常の炭鉱への投融資は認める形となっている。

 

 投融資ポートフォリオでの脱炭素目標では、MUFGが2050年までにカーボンニュートラル達成を 目指す長期目標を設定、Net Zero Banking Alliance(NZBA)へ邦銀として初めて参加したことが評価された。投融資ポートフォリオ全体の排出量(スコープ3)の計測についてはSMBCだけが明示的コミットメントをしていると評価された。

 

 石炭火力向け投融資では、3行とも、2040年石炭火力フェーズアウトの目標を掲げ、新規計画へのファイ ナンスは行わないとするが、CCUSや混焼などの新しい技術を装填する石炭火力を対象外とする「抜け穴を残している」と指摘している。

 

 その中でも、みずほはコーポレートレベルのエンゲージメント強化をし、 MUFGは、石炭火力発電事業者へのコーポレートファイナンスのポートフォリオ削減目標を設定すると表明している。ただ、環境NGOらはそれらのコミットメントが「いつ、どのように実行されるか明確にされていない」と疑問を示している。

 

  石油・ガスセクターポリシーでは、プロジェクトレベルで、SMBCとみずほがオイルサンド、シェール 油及びシェールガス、北極での石油・ガス採掘、石油・ガスパイプラインについて、デューデリジェンス (社会・環境リスク評価)の強化を行うとしている。MUFGのデューデリジェンス強化はオイルサンド及び北極での石油・ガス採掘に留まった。

 

 パーム油セクター方針では、3行全てが認証取得を要請しており、みずほの要請が最も強い。MUFG は顧客企業が森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE:No Deforestation, No Peat and No Exploitation )にコミットすることを最も明確に要請しているが、MUFGのインドネシアの子会社バンクダナモ ンはパーム油への融資の窓口であるにもかかわらず、同方針が適用されない点を問題視している。

 

https://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2021/06/PR_Comparison-of-Policies-of-JP-3megabanks.pdf