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世界の核関連企業への金融機関の投融資7.2兆円減少。核兵器禁止条約発効で、金融機関の投融資リスク認識進む。日本の金融機関の投融資額は逆に増加(各紙)

2021-12-20 01:13:50

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 各紙の報道によると、世界32カ国338の金融機関による核兵器関連企業向け投融資額は2019年1月~21年7月の間で、総額約6850億㌦となり、前回調査より約630億㌦(約7兆2000億円)減少したことが、オランダのNGOのPAXの調査でわかった。今年1月に、核兵器の使用・製造・保有等を全面違法とする核兵器禁止条約が発効したことから、金融機関の投融資回避が進んだとみられる。ただ、日本の金融機関7社の投融資額は約380億㌦で、前回調査より約1.5倍増になっているという。

 

 (写真は、核兵器廃棄を求めるPAXの活動家たち)

 

 共同通信が伝えた。それによると、PAXは、核兵器や核を運搬するミサイルの開発・製造等に係る企業25社を「核関連企業」と認定している。米ノースロップ・グラマン、ロッキード・マーチンなどの米欧、ロシア、中国企業等が含まれる。

 

 これらの企業への金融機関の投融資状況についての前回調査は2017年1月~19年1月に実施した。その結果、325社が対象の25社中18社に対して総額7480億㌦を投融資していた。今回の調査は、期間が前回より半年長く、対象金融機関も13社多かったが、投融資総額は約1割減と明確に減った。

 

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 PAXは「各禁止条約発効による目に見える効果」と指摘。金融機関が核関連企業との取引を避けることが、核兵器廃絶への解決策になるとアピールしているという。

 

 ただ、これらの金融機関のうち、日本の金融機関7社の投融資額は約380億㌦で、前回調査の8社約255億㌦を約5割も上回った。共同通信では、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの3メガバンクグループのほか、オリックス、日本政策投資銀行、三井住友トラスト・ホールディングス、芙蓉総合リースが含まれているとしている。

 

 日本の金融機関の投融資額が増えている背景として、「核兵器製造に直接かかわる企業への投資は禁止しているが、航空機など関連企業を含めるのか、線引きが難しい」との関係者の説明を紹介している。また名指しされた金融機関では、三井住友トラストが「グループ会社で扱う一部インデックスファンドの中で該当企業への投資がある」とし、芙蓉総合リースは投資はないと説明したとしている。他の5社は「個別取引に関しては回答を控える」としているという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/149771?rct=world

https://paxforpeace.nl/what-we-do/programmes/nuclear-weapons