HOME7.金融NPO |「第7回サステナブルファイナンス大賞」決定。大賞には日本生命、資産全体にESG評価を導入。優秀賞は東急不動産HD、東京海上日動、みずほ証券、三井住友銀行の4社(RIEF) |

「第7回サステナブルファイナンス大賞」決定。大賞には日本生命、資産全体にESG評価を導入。優秀賞は東急不動産HD、東京海上日動、みずほ証券、三井住友銀行の4社(RIEF)

2021-12-24 17:34:53

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 一般社団法人環境金融研究機構が主催する「第7回サステナブルファイナンス大賞」の受賞企業が決まった。大賞は、約70兆円の総資産すべてに、ESG評価を盛り込む取り組みを今年度から実施している日本生命保険が受賞した。同社は2018年の第4回に次ぎ、2度目の大賞受賞になった。優秀賞には、東急不動産ホールディングス等4社、グリーンボンド賞にNTTファイナンス等、全部で10社・機関が受賞した。年明け1月17日に表彰式(オンライン)を開催する予定。

 

 サステナブルファイナンス大賞は、同機構が2015年から実施している。その年の日本の環境金融・サステナブルファイナンス市場で活躍した金融機関、企業、関係機関等を、環境と金融の両分野の専門家が定量評価と定性評価の両方に基づいて選出する。

 

 大賞に選ばれた日本生命は、民間機関投資家最大の約70兆円の資産全体を、ESG評価するESGインテグレーションを2021年度より実施に移した。ESG評価と財務評価を資産運用において初めて統合したことになる。さらに、投融資ポートフォリオ中の温室効果ガス排出量の約8割を占める企業へのエンゲージメント活動では投融資先のネットゼロ化を支援するなど、機関投資家としての受託者責任を踏まえたリーダーシップを発揮した。

 

 優秀賞は、東急不動産HD、東京海上日動火災保険、みずほ証券、三井住友銀行の4社。

 

 東急不動産HDは、日本企業として初めてESG 債の長期発行方針を立てた。社債発行残高に占めるESG債比率を 現行の約14%(8月時点)から、2026 年3月末までに50%以上、2031年3月末までに70%以上とする目標だ。

 

 東京海上日動は、ESG評価を組み込んだ会社役員賠償責任保険(D&O保険)を開発した。企業のESG スコアと財務情報をもとに、AI を活用するリスク評価モデルで評価する。

 

 みずほ証券は、ESG債引受で、2019年度から3年連続でシェア1位を継続。今年度も現時点で金額・シェアともにリーグテーブル1 位。昨年に引き続き連続の優秀賞受賞となった。

 

 三井住友銀行は法人向けグリーン預金を初めて手掛けたほか、雇用促進住宅ポートフォリオへのファイナンスや投融資先のGHG排出量可視化サービスの開発等、サステナブルファイナンスの展開と実践に幅広く貢献した。

 

 グリーンボンド賞のNTTファイナンスは、グループのファイナンスとして円建てで3000億円、ユーロ建てで15億ユーロ(約2000億円)のグリーンボンドを相次いで発行し、日本企業のグリーンボンド市場の大型化、国際化に貢献した。

 

 サステナブル・イノベーション賞はサステナブルレポ取引を実施した新生銀行。金融機関の保有債券を一定期間、現金と交換するレポ取引をサステナブルファイナンスに応用した新規性を評価した。

 

 NPO/NGO賞は、オーストラリアの環境NGOのマーケットフォースを選んだ。同団体は化石燃料関連インベストメントチェーンへの働きかけを国際的に進めており、日本企業に対しても、住友商事と三菱UFJフィナンシャル・グループへ株主提案を実施し、NGO活動のグローバル化を示した。

 

 地域金融賞は、個人向けのグリーン預金を販売した百五銀行(三重県)と、地域通貨を活用して地域内経済循環に貢献している飛騨信用組合(岐阜県)を選んだ。