HOME7.金融NPO |世界の主要200金融機関、パーム油等の森林リスク産品企業への融資額、パリ協定以降で2670億㌦(40兆円)、日本のメガバンクは環境配慮対応、比較的高い評価。米RANが公表(RIEF) |

世界の主要200金融機関、パーム油等の森林リスク産品企業への融資額、パリ協定以降で2670億㌦(40兆円)、日本のメガバンクは環境配慮対応、比較的高い評価。米RANが公表(RIEF)

2022-10-24 08:03:18

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 米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部サンフランシスコ、RAN)をはじめとする8団体で構成する「森林と金融」連合は、日本の3メガバンクを含む世界大手の200金融機関(銀行と投資機関)が、パリ協定締結後の2016年から今年9月までで、パーム油や紙パルプなど森林をリスクにさらす産品企業300社に2670億㌦(約40兆円)の融資・ 引受をし、株・債券の保有額も400億㌦(約6兆円)に達すると指摘した。新型コロナウイルスの世界的流行で一時、減少したが2021年には2018年の水準に戻っている。

 

 同時に各金融機関のESG方針を、環境なら森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、社会なら千寿民族やコミュニティの権利尊重等、3分野35項目の基準で採点・分析し、各金融機関の取り組みを10点満点で評価した結果も公表した。

 

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 それによると、200社平均では1.6ポイントと総じて低調だった。ただ、日本勢は、みずほフィナンシャルグループが4位(6.9㌽)、三菱UFJフィナンシャル・グループ16位(5.4㌽)、三井住友フィナンシャルグループ31位(4.0㌽)と、比較的上位にランクされた。

 

 他の日本の金融機関は、JAグループ41位 (3.1㌽)、三井住友トラスト・グループ42位(3.1㌽)、大和証券グループ52位 (2.2㌽)、野村グループ57位 (2.1㌽)、日本生命保険62位(1.9㌽)、オリックス・コーポレーション71位(1.5㌽)。平均以下は、群馬銀行81位(1.0㌽)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は95位 (0.7ポイント)、地方公務員共済組合連合会132位(0.2㌽)、公立学校共済組合(0ポイント)。

 

 GPIF等の公的投資機関は、森林リスク産品企業についての認識を欠き、投資対象企業で分類していないため低評価になったとみられる。

 

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 全体ランキングで1位となったのは、ノルウェー政府年金基金(7.5㌽)、 2位はオランダのラボバンク(7.4㌽)、  3位は同ABNアムロ(7.2㌽)で、いずれも欧州勢だった。

 

 評価対象となった森林リスク産品事業者の地域は、世界三大熱帯林地域である東南アジア、ラテンアメリカ(アマゾン)、中央・西アフリカ(コンゴ盆地)で、牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材等を取り扱っている事業企業との取引を対象とした。

 

  森林リスク産品企業向けの投融資は2018年のピークから、19年に入って、横ばい・減少傾向がみられていた。さらに新型コロナウイルス感染が始まった20年は急減した。だが、21年には再び、18年の水準に戻っている。RANは「農林業その他土地利用セクターは世界の温室効果ガス排出量の23%を占めているにもかかわらず、不十分な方針のもとで森林リスク産品への資金流入に歯止めがかかっていない」と批判している。

 

 また日本のメガバンク等が比較的高い評価を得た点について、RAN日本代表の川上豊幸氏は「日本のメガバンクの大きな課題は、3行ともに投融資先企業に対してNDPE(森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止)方針遵守の公表、あるいはNDPEに準ずる方針作成を求めてはいるが、企業グループ全体での遵守を明確に求めていない点だ。投融資先企業にNDPE方針の遵守状況の確認を十分に行う体制が整っていない」と課題を指摘している。

https://japan.ran.org/?p=2070

https://forestsandfinance.org/data/data-compare-banks/