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「GXは気候変動対策に逆行している」。2030年までに石炭火力ゼロを目指す環境NGOらのキャンペーン活動「Japan Beyond Coal」が、「GXは石炭火力温存策」と新聞広告で訴え(RIEF)

2022-12-26 21:39:23

GXanchi001キャプチャ

 

  国内の石炭火力発電所を2030年までにゼロにすることを目指す環境NGO等によるキャンペーン活動「Japan Beyond Coal(JBC)」は、24、25日にかけて、主要新聞の朝刊で政府が進める「グリーントランスフォーメーション(GX)政策は気候変動対策に逆行している」と指摘する意見広告を出した。GX政策の柱とされる石炭火力でのアンモニア燃焼やCO2回収貯留のCCS等はCO2削減効果に乏しく問題が多いと指摘。こうした排出削減につながらない「虚偽」の技術ではなく、再エネ・省エネに投資を向けようと呼びかけている。

 

 JBCは国内環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)、CAN Japan、FoE Japan、グリーン―ピース、WWF、350.org Japan、自然エネルギー財団、NO COAL KUSHIRO、NO COAL SENDAI、NO COALTOKYO BAY、NOCOALKOBE等の環境団体、機関で構成されている。海外でも同様の「Beyond Coal」キャンペーンが展開されている。

 

 意見広告は、24日に中日新聞、東京新聞、25日に朝日新聞に、それぞれ掲載された。

 

 意見広告では「GXは気候変動対策に逆行している!?」との見出しを付け、「政府や関係企業は、脱炭素社会に向けたGXに多額の予算をつけている。その柱が石炭火力でのアンモニア混焼やCCS。しかし今、世界が目指しているのは平均気温の上昇を1.5℃に抑えることで、2030年までにCO2排出量を半減させねならない。削減効果も乏しく問題の多い、これらの技術開発に時間をかけている余裕はない」と断じている。

 

 両政策とも、経済産業省が主導している。石炭火力でのアンモニア混焼については、アンモニア製造の原料となる水素は天然ガスや石炭などの化石燃料によるもので、製造段階でたくさんのCO2を排出することを指摘。アンモニアを石炭火力に混焼しても、火力発電のライフサイクルベースではCO2はほとんど減らず、化石燃料利用の延命にしかならないとしている。

 

GXanchi002キャプチャ

 

 火力発電所や工場から排出されるCO2を回収して地中に埋めるCCS技術の適地の探索もGXで重視されている。しかし、CO2の回収や貯留には多額のコストが必要で、しかも 回収には限界があり、回収・貯蔵されたCO2も大気に漏洩するリスクがあると懸念を表明。地震大国日本には特に不向きな技術、としている。

 

 新聞広告では、こうしたGX政策を世界中が取り組むべき気候変動対策としては「方向違い」と位置付けたうえで、「日本がやるべきは、石炭火力を使い続けるために、削減効果も乏しく、経済合理性もない アンモニア混焼やCCSなどの『技術イノベーショ ン』に多額の予算を投じることではない。CO2を削減するには、効果的な省エネ対策を行ってエネルギー消費量を低減させ、地域社会 との共生を図りつつ、太陽光や風力などの再エネ導入を大きく底上げしていく必要がある」として、GX政策の転換を求めている。

https://beyond-coal.jp/beyond-coal/wp-content/uploads/2022/12/JBC_newspaperads_f221220.pdf

https://beyond-coal.jp/news/gx-newspaper-ad-20221224/