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G7広島サミット開催前日の18日。内外約15の環境団体が広島市内で、日本政府の化石燃料依存策を批判する抗議アクション展開。「グローバルサウス」のNGOらの反発強く(RIEF)

2023-05-18 22:44:30

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 G7広島サミット開催前日の18日、内外の約15の環境団体が広島市内で、化石燃料依存を止め気候変動対策の強化を求めるアクションを展開した。日本は議長国だが化石燃料依存の政策に固執する姿は、G7諸国の中でも「お荷物」として際立っている。NGOらはアクションの中で、石炭に依存する岸田首相を模した巨大マスクや、ガスパイプラインを模した風船をアピールし、日本政府の化石燃料依存を批判。「 #JapanLovesDirtyEnergy」の共通のハッシュタグを使って、内外で日本の「化石燃料固執政策」の転換を求める行動を展開した。

 

 (写真は、広島市内の公園でG7首脳のお面を付けて抗議アクションをするNGOら。右端は「岸田首相」のようだが、顔がデカ過ぎて、あまり似ていない感じだね)

 

 広島サミットに合わせて、広島以外の日本各地や、世界20カ国で、G7諸国の脱炭素化加速を求めるNGOや市民団体の行動が行われた。アクションが行われた国々は、日本のほか、オーストラリア、バングラデッシュ、ブラジル、カナダ、エストニア、ガーナ、インド、インドネシア、ネパール、パキスタン、フィリピン、韓国、スペイン、スリランカ、台湾、イギリス、ウクライナ、米国、ベトナムーー。

 

 日本政府は今回のG7で途上国等の「グローバルサウス」の国々との連携を強調している。そのグローバルサウスを含む世界のNGOらから、脱炭素化への政策転換を遅らせる日本政府に対して、「ノー」の声が示された形だ。

 

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 環境NGOの350.org Japanによると、今回、日本で開催された一連のG7閣僚会議等では、昨年のG7首脳会合で合意された「2022年末までに排出削減対策の講じられていない化石燃料エネルギーセクターへの政府による新規の国際的な直接支援を終了する」という約束を、日本政府は実行せず、ウズベキスタンにおける新規のガス事業など、現在も積極的に海外の化石燃料事業に公的資金で融資していると指摘。2020年から2022年までの化石燃料の公的資金支援額で、日本はG7の中でカナダについて2番目に大きい存在だとしている。https://rief-jp.org/ct7/135521

 

 日本政府は、「脱炭素化」の手段として、火力発電所でのアンモニアやバイオマス、水素等の混焼や、CCSに頼る「誤った気候変動対策」を推進し、それらをアジア各国にも「現実的な」脱炭素手段、との名目で広げ、公的資金支援や技術支援でアジア諸国を巻きこもうとしていると指摘。ところが、これらの技術は十分な排出削減機能が確認されていないうえに、コストも高く、技術的な障壁もあり、エネルギーセクターでの大規模な利用には極めて不適切とされる。にもかかわらず、日本政府はこれらの技術を自国だけでなく、アジア各国に広げ、アジア全体で化石燃料を温存しようとしている、との懸念の声が「グローバルサウス」からも強く上がっている。https://rief-jp.org/ct5/135582

 

バイオマス燃料確保での自然林皆伐に反対するグループ
バイオマス燃料確保での自然林皆伐に反対するグループ

 

 広島に集まった各国のNGOたちの声を以下に紹介する。

 

 Asian Peoples Movement on Debt and Development (APMDD) の共同コーディネーターでAsian Energy Network (AEN) の呼びかけ人のLidy Nacpil氏。「日本や他のG7諸国が、迅速で公平かつ公正なエネルギー転換を目指す私たちの戦いを邪魔し、私たちを化石燃料に縛りつけることを許すわけにはいかない。新たな化石燃料ガスへの投資は、アジアの私たちのコミュニティにとって大きな損失を意味する」

 

 フィリピンの環境団体Center of Energy, Ecology and Developmentの事務局長、Gerry Arances氏。「天然ガスを推進するのはアジアのエネルギー安全保障と経済発展のためだと、日本が主張したければすればいい。しかし、その真の目的は化石燃料に執着し、他国も道連れにすることであるのは明白。過去10年間、日本がフィリピンや東南アジアで石炭を推進したことだけでも言語道断だが、私たちフィリピン国民の再エネ100%の未来を、また日本がガス推進によって奪い取ることは、許さない」

 

 インドネシア環境フォーラム(WALHI/ FoEインドネシア) 空間計画・インフラ問題キャンペーンマネージャー、Dwi Sawung氏。「『公正なエネルギー移行パートナーシップ』(JETP)など、エネルギー移行を支援する国際的な枠組みに資金を提供するG7諸国は、ガス、CCUS、石油・ガス精製、混焼(アンモニア、水素、バイオマス)など、パリ協定の1.5℃目標に整合しない誤った気候変動対策に資金が流れないよう手を尽くす必要がある」

 

 Oil Change International・アジアプログラムマネージャー、Susanne Wong氏。「岸田首相は、市民と地球環境の健康と安全よりも、日本企業の利益追求のために日本のG7議長としてのポジションを利用している。日本は、天然ガスやその他の化石燃料関連技術を推し進めて、世界のエネルギー移行を邪魔しないでほしい。岸田首相と他のG7首脳は、すべての化石燃料に対する公的資金を終了し、再エネに投資をシフトするという公約を守り、さらに踏み込んだ公約をすべき。それこそが平和と安全保障に繋がる最も確かな道だ」

 

 環境NGO FoE Japan・開発金融と環境キャンペーナーの長田大輝氏。「(日本政府は)アジアには再エネポテンシャルがほとんどないため、化石燃料の拡大が脱炭素化の『現実的』な方法と主張する。しかし日本を含むアジア諸国には膨大な再エネのポテンシャルが存在し、この主張は完全な誤り。このような利己的かつ企業主導のアジア脱炭素戦略は、エネルギー安全保障、経済的コスト、財務リスク、排出削減の面で非合理的であるだけでなく、日本自身を孤立させ、日本を世界中の批判に晒している」

 

 環境NGO 350.org Japanジャパンチームリーダー代行の伊与田昌慶氏。「G7広島サミットは、気候と平和を守るため、岸田首相が化石燃料との訣別を宣言するまたとない機会。日本の化石燃料中毒は、グリーン雇用の創出、大気汚染の改善、エネルギーコストの低減といった機会を失わせるばかりか、アジア・アフリカにおける脱炭素の阻害、ロシアの戦争への加担をも意味する」

 

 米Mighty Earth日本代表ロジャー・スミス氏。「日本は『汚いエネルギー』を好み、日本の企業の利益のために、他のG7諸国にもそういったエネルギーを推そうとしていることは明白。日本は、気候変動分野におけるリーダーを偽り、『グリーントランスフォーメーション(GX)』を推進しているが、化石燃料インフラを延命させるだけの汚い技術を『グリーン』と主張しているだけ。日本の政策が、他のアジア諸国を誤った気候変動対策に『ロックイン』させてしまう。日本が『汚いエネルギー』との蜜月関係を終わらせる時は、今だ」

https://world.350.org/ja/350media/