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第10回サステナブルファイナンス大賞授賞式。大賞以下12件。大賞は2年連続でスタートアップ組織。大手銀行は開発力を生かし、地域金融機関は調達・運用等でサステナビリティ追求(RIEF)

2025-01-20 22:24:52

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 一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)が実施する恒例の「サステナブルファイナンス大賞」の授賞式が20日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ会見場で開かれた。すでに公表しているように、今回、第10回目の大賞には、太陽光発電のメガソーラーサイトを草地化して、CO2の吸収源としての自主的カーボンクレジット(VCM)を創出する活動を展開する一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)が選ばれた。昨年の大賞となった稲作クレジット創出のグリーンカーボンに続き、スタートアップ組織による連続受賞となった。

 

 大賞以外では、優秀賞として、インパクト預金を開発したみずほ銀行、水素ファンドへの出資及び運営でリーダーシップを発揮する三井住友フィナンシャルグループ、信託機能を活用して給付型奨学金ファンドと、J-REIT向け長期融資を運用対象としたグリーンJ-REITトラストファンドを開発した三菱UFJ信託銀行の大手銀行3行を選んだ。一方で、地域金融賞には、京都銀行、滋賀銀行、横浜銀行、兵庫県信用組合の4機関を選んだ。

 

 3地銀は資金調達と運用をサステナビリティ商品で組み合わせるなどの工夫で競い合う格好で、信用組合は、取引先中小企業のSDGs取り組みを支援する活動を評価した。また国際賞には、初のサムライ債市場でソブリン・ソーシャルボンドを発行した欧州のスロベニア共和国を選んだ。

 

 このほか、NGO/NPO賞には、環境NGOとして幅広い活動を展開しているFoE Japanを選んだ。同団体は日本の公的金融機関である国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)等がアジア地域などで実施する化石燃料事業等への融資に伴う汚職や、環境・社会、人権問題等の増大に対する調査・提言・直接行動等を評価した。

 

 特別賞として、国際賞を受賞したスロベニアのソブリン・サムライソーシャルボンド発行をアレンジしたSMBC日興証券を、これまでのサムライ債市場での取り組みも含めて評価した。また2000年代初めから市民自らの資金で、環境や福祉等の地域の課題解決のための融資事業を続けてきた東京コミュニティパワーバンク(CPB)の活動を評価した。

 

日本のサステナブルファイナンスの先行きを語る玉木氏
日本のサステナブルファイナンスの先行きを語る玉木氏

 

 授賞式では、賞の審査員でもある国際金融情報センター理事長の玉木林太郎氏が基調講演を行った。同氏は米国がトランプ政権に移行する前夜ということもあり、米国で広がる反ESG等の動きについて言及、ESGは本来は投資における非財務情報の議論なのに、それが社会的な対立事項になっている点への懸念を述べた。

 

 米共和党系の「圧力」によって、国連のネットゼロ組織から離脱したブラックロックなどは、離脱後も「顧客のポートフォリオ重視」のスタンスは変わっておらず「(反ESGの)表面と中身が異なる現象になっている」との見方を示した。そのうえで一期目のトランプ時代でも、この分野(ESGやサステナブルファイナンス)は着実に進展したことにも触れた。また日本の政策面についても、サステナビリティ等でのさらなるフレームワークの充実の必要性を強調し、市場関係者は「ワンボイス」で、政策の充実を求めていくべき、とした。

https://rief-jp.org/ct7/152261