HOME1. 銀行・証券 |三菱商事による「LNGカナダ事業」。関連する延長670kmのパイプライン建設による環境・人権侵害が、カナダ憲法で保証された先住民族の「同意権」を侵害と、異議申し立て(RIEF) |

三菱商事による「LNGカナダ事業」。関連する延長670kmのパイプライン建設による環境・人権侵害が、カナダ憲法で保証された先住民族の「同意権」を侵害と、異議申し立て(RIEF)

2025-07-18 16:49:45

スクリーンショット 2025-07-18 163450

写真は、LNGカナダ事業の輸送タンカー=同事業サイトから引用)

 

  三菱商事が開発を進めるカナダでのLNG開発事業(LNGカナダ)と関連のパイプライン事業によって、事業周辺地域への環境被害や、反対する住民への弾圧による人権侵害等があるとして、現地の先住民族代表が17日、三菱商事と、資金供給を代表する国際協力銀行(JBIC)に対し、カナダ国憲法と国際法に違反するとし、現在および将来のすべての投融資を即時停止を求める異議申立書を提出した。同申し立てによると、三菱商事らは、同国憲法で保証された先住民族の伝統的な世襲制統治からの「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)無しに、事業を推進していると批判している。

 

 申し立てを行ったのはカナダの先住民族「ウェトスウェッテン(Wet’suwe’ten)」の代表である世襲制チーフのNa’Moks氏と、Hagwilget Village Councilの副チーフであるGwii Lok’im Gibuu(Jesse Stoeppler)氏。

 

 対象となっているLNG事業は、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州モントニーで採掘されたシェールガスを670kmのパイプライン(コースタール・ガスリンク・パイプライン=CGL)を経由して太平洋沿岸のキティマットまで輸送し、LNG化して主にアジア市場に向け輸出する。カナダ初の大規模LNG輸出基地で、年間1400万㌧のLNGを、日本をはじめとするアジア地域に輸出する事業だ。7月1日に初出荷されている。

 

CGTパイプラインの建設状況:https://www.facebook.com/people/CGLAP/100064897352308/
CGLパイプラインの建設状況:https://www.facebook.com/people/CGLAP/100064897352308/

 

 事業は三菱商事(出資比率15%)のほか、シェル・カナダ(同40%)、ペトロナス(同25%)、ペトロチャイナ・カナダ(同15%)、韓国ガス公社(同5%)で構成するコンソーシアムが運営している。事業のファイナンスについては、三菱商事の直接投資に加え、JBICによる8億5000万㌦の融資のほか、日本の大手銀行(みずほ、三菱UFJ、三井住友)による融資等で運営される。

 

 ただ、LNG開発事業は、グローバル市場ではプロジェクトが過剰になっており、アジア市場でも将来の需給バランスが供給過剰の懸念が出ている。特に日本の事業者は国内の需要以上の開発をした分を、アジア等の海外市場に転売する状況となっている。このため、日本の公的金融での開発支援の意義があいまいになっているとの指摘もある。

 

 先住民族「ウェトスウェッテン」はこれまでも、同事業に関連するCGLパイプライン建設が周辺環境やコミュニティに及ぼす影響の大きさから、カナダ憲法で先住民族の世襲制統治に認められている「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)を得ていないとして、同事業およびLNGカナダ事業は、同国憲法と国際法に違反していると指摘してきた。

 

 同事業の融資を担うJBICは、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を制定しており、LNGカナダ事業は同ガイドラインに基づく環境社会配慮の対象となる、として、先住民らは、これまでも対応を求める交渉を続けてきた。今年初めには、JBICと先住民の代表は直接交渉も行った。しかし、交渉は平行線で、ウェトスウェッテンのチーフのNa’Moks氏は「JBICと三菱商事によるLNGカナダ事業への投融資は、われわれの主権と人権を侵害し、先住民族の土地擁護者に対する植民地主義的な暴力を助長し、われわれの土地の繊細な生態系を破壊した」と非難してきた。

 

 今回の異議申立て書では、同事業による環境・人権侵害について次ぎのように指摘している。

 

 人権侵害:CGLパイプライン建設に反対する人々に対するカナダ警察による軍事的な襲撃、恣意的な逮捕。パイプラインに反対する先住民族の土地擁護者に対する人権侵害の記録は、カナダ・スクリーン・アワードを受賞したドキュメンタリー「YNTAH」で紹介されている。

 

 環境違反:CGLパイプラインは、ウェトスウェッテンの先住民の生計手段と文化に不可欠なサケの生息する川など、繊細な生態系に直接被害を及ぼしており、環境違反で繰り返し罰金を科せられている。

 

 気候への影響: この事業は国際的な気候公約に反しており、数十年にわたって大量の温室効果ガス(GHG)排出が固定される。

 

 先住民らは異議申立て書において、JBICと三菱商事に対し以下の対応策をとるよう要請している。

①LNGカナダ事業に対する更なる貸付実行を即時停止し、計画されている拡張計画(フェーズ2)へも支援を行わないこと

②環境および人権への影響について包括的な再アセスメントを行うこと

③ウェトスウェッテンの伝統的リーダーたちと直接協議を行い、緩和策と説明責任についての正当な道筋を打ち立てること

 

 「日本とその金融機関には国際法を遵守する義務がある」と、副チーフであるStoepplerは付け加えた。「われわれはそのために、JBICと三菱商事に対し、法的、環境的、社会的、そして倫理的責任を果たし、LNGカナダへの資金提供を停止し、先住民族と直接対話するよう求めている」としている。

 

www.foejapan.org

https://drive.google.com/file/d/1hbP1sWQibg_LefQq6rXy_ogra6lzyIRN/view

https://docs.google.com/document/d/1W456k-O6KD_AiB4CSivjNHzIINS79hZpn9xTKltlp40/edit?tab=t.0

https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/disagree/procedure.html