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国際気候NGOスティール・ウォッチ。世界の鉄鋼企業18社対象の「脱炭素評価のスコアカード」実施。平均スコア50点未満(100点満点)。日本製鉄は最下位から2番目、JFEも下位(RIEF)

2026-03-31 08:14:42

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  国際気候NGOスティールウォッチは31日、独自に開発した「鉄鋼企業スコアカード」に基づき、世界の18の大手鉄鋼企業を対象として、各社の脱炭素化の進捗状況をスコア化して比較可能にした調査結果を公表した。対象鉄鋼メーカー18社のスコアはいずれも100点満点で50点に満たなかった。脱炭素への移行に必要な準備が整っている企業は1社もなく、中でも日本最大の鉄鋼メーカーである日本製鉄は18社中17位(100点満点中16.8点)、JFEスチールは12位(同23.4点)と、ともに下位に低迷した。調査したスティールウォッチは、日本の鉄鋼企業が「脱炭素」と、ほど遠いのは、石炭依存の高炉生産に固執しているためと指摘している。

 

 同NGOは今年初めに、データ分析ツール「鉄鋼企業移行トラッカー」を開発・公表した。今回の発表はそのツールを使って実際に主要な鉄鋼企業を評価・採点した結果をまとめた。https://rief-jp.org/ct7/163671?ctid=

 

 総合スコア(100点満点)は、「石炭からの脱却」「気候対策実績」「目標設定と透明性」「低排出な鉄鋼⽣産の拡⼤」「社会・環境への影響」の5カテゴリー(21指標)による評価(100点満点)とした。ニア‧ゼロエミッションに向け、確実かつ迅速な構造転換を実現しているか、を評価の視点としている。

 

 対象企業は、鉄鋼の世界全体での⽣産量の上位100社から、主要な鉄鋼⽣産国の⼤⼿企業を中⼼に選定した。これに、地理的多様性として、高炉を採⽤する企業を中⼼に、1カ国につき最⼤2社までを対象に加えた結果、日本の2社を含めて12か国18社となった。18社の総⽣産量は、世界の総鉄鋼⽣産量の約4分の1を占める。

 

  カテゴリーごとの評点を見ると、「石炭からの脱却」カテゴリーの平均スコアは10.5点(25点満点)止まり。4社を除く全対象企業が、コークス(石炭)を使う高炉方式での生産への投資を直近に実行または計画しているという。「低排出な鉄鋼生産の拡大」カテゴリーの平均スコアはさらに低く、わずか0.6点(25点満点)。「脱炭素、やる気なし」という感じだ。

 

「スコアカード」の評価ランキング
「スコアカード」の評価ランキング

 

 5つのカテゴリーの評点を合わせた100点満点の結果では、どの企業も50点越えはできなかった。こうした結果は、予想通りというか、極めて残念というか。対象鉄鋼メーカー18社のうち、脱炭素への移行に必要な準備が整っている企業は1社もないとの評価になった。その中でも日本の2社は遅れを取っていることが明らかになった、としている。


 日本製鉄は、昨年6月、UFスチールの買収を完了し、日米の注目を集めた。日本の鉄鋼トップメーカーだが、脱炭素を測るスコアでは18社中17位(100点満点中16.8点)で、辛うじて最下位を免れる水準。USスチールは、8位(同28.3点)で日鉄よりも上にランクされている。

 

 JFEスチールは12位(同23.4点)なので、日鉄を上回ったが、「下位グループの上位」の位置といえる。その中でも日鉄とJFEスチールは世界の同業他社よりも低スコアにとどまった。最もスコアが良かったのは、SSAB(スウェーデン)の46.2点。次いでティッセンクルップ(独)の41.9点。両社は、保有する全ての⽯炭使用の⾼炉生産を対象とした廃⽌計画を持っており、さらに、グリーンアイアン導⼊に向けた動きもしているという。グリーン化の成否を左右する規模拡⼤は今後の課題、としている。

 

 東アジアの 現代製鉄(韓国)、日鉄、HBIS(中国)はそれぞれ100点満点中21.2点、16.8点、8.3点という低水準のスコアで、最下位グループを形成した。いずれの企業も高炉生産への高い依存度、再生可能エネルギーに関する進展・報告の不足、グリーンアイアン開発に向けた具体的取り組みの欠如などで、「移行レディネスギャップ」を解消する機会を逃していると評価されている。

 

 スティールウォッチは「(日本企業の低スコアの)背景には石炭依存がある」と指摘する。特に、日本製鉄が最下位グループの企業と評価された主な理由は、「高排出な石炭高炉の段階的な廃止に取り組まず、その延命技術に注力しているためだ」と評価している。


 総合評価では、ほとんどの企業でネットゼロ目標を公表しているものの、依然、高排出を伴う高炉生産での石炭依存が続いており、低排出技術の拡大は遅々として進んでいない。こうした実態から同NGOでは、鉄鋼各社は深刻な「移行レディネスギャップ」にあると評価している。鉄鋼メーカーの移行に求められる水準と、企業の現在の取り組みとに、大きなギャップを抱えているわけだ。


 同NGOのアジア・リードのロジャー・スミス(Roger Smith)氏は「日本製鉄やJFEスチールのような影響力のある鉄鋼メーカーが、今回のスコアカードの評価結果を踏まえ、抜本的構造改革に向けた取り組みを加速することを期待する」と強調している。

https://steelwatch.org/scorecard?lang=ja

                        (藤井良広)