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滋賀県・湖南市の「こなんウルトラパワー」、自治体電力として初のグリーンボンド発行。1億1000万円。全額、私募で滋賀銀行が引き受け(RIEF)

2019-02-27 23:13:36

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  滋賀県湖南市と地元企業の官民協力で設立された地域電力会社の「こなんウルトラパワー株式会社」は、自治体の新電力会社としては初めてとなるグリーンボンドを発行した。発行額は1億1000万円。全額、地元の地方銀行、滋賀銀行が私募債の形で引き受けた。

 

 (写真は、物流センター屋上に設置された太陽光発電設備)

 

 発行期間は15年。調達資金は市内の物流センターに設置する屋根置き型太陽光発電事業や、同市内の4小学校の体育館等のLED 化事業に充当する。調達資金の84%を太陽光事業に、残りをLED事業に充てる。

 

 グリーンボンドとしては小口だが、格付投資情報センター(R&I)で最上位の「GA1」格付けを取得した。こなん社は「こなんウルトラパワーグリーンボンド1号」と名づけ、今後も発行を続けていく方針だ。

 

 こなんウルトラパワーは、2016 年5 月に設立された官民出資型の地域新電力事業者。自治体電力を手掛けるパシフィックパワー社(東京)が、湖南市と連携して設立した。湖南市が過半の50.86%を出資している。市の施策として「エネルギー・経済の循環による地域活性化」、「自立分散型のエネルギー確保」、「地球温暖化防止への貢献」を事業目的としている。

 

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  R&Iは、同ボンドに対して、グリーンボンドアセスメントと、セカンド・オピニオンを付与した。資金使途は再エネ事業およびエネルギー効率化(ESCO)事業であり、環境問題の解決に資する度合いは非常に高いと判断した。また、工事に伴う騒音等の環境にネガティブな影響にも配慮がなされている、と指摘している。

 

 全額引き受けた滋賀銀行は、調達された資金は地域の太陽光発電設備の設置資金と、市内の小学校の省エネ事業に充当され、地域経済・社会にプラス効果を発揮することを評価。同行自体が取り組んでいる「環境経営」に合致すると判断している。

 

 自治体電力は全国に広がっている。そのネックは資金面だが、グリーンボンドを活用することで、すでに整備した再エネ事業資金をボンドの発行で地元金融機関や地元住民らに引き受けてもらうことで、地域内での資金循環を引き起こすことができる。さらに、事業者は調達資金で新規投資を拡大し、事業循環の輪も拡大できる。今後の広がりが期待される。

https://konan-ultra.de-power.co.jp/docs/190225_gb.pdf