HOME10.電力・エネルギー |三菱日立パワーシステムズ、米国ユタ州で再エネ由来の水素利用のGTCC発電プロジェクト受注。石炭火力のCO2排出量を削減。最終的には100%水素化へ。84万kW級水素焚きJAC形設備(RIEF) |

三菱日立パワーシステムズ、米国ユタ州で再エネ由来の水素利用のGTCC発電プロジェクト受注。石炭火力のCO2排出量を削減。最終的には100%水素化へ。84万kW級水素焚きJAC形設備(RIEF)

2020-03-19 12:04:43

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 三菱日立パワーシステムズ(MHPS、横浜市)は、水素を使う火力発電設備を初めて受注したと発表した。米ユタ州の独立系電力事業者(IPP)向けで、出力は約84万kW。水素混焼率は2025年に30%、2045年までに100%に引き上げる見通し。水素は再生可能エネルギー由来の電力で製造する。受注額は300億~400億円とみられる。カーボン高排出の火力発電を低炭素化することに貢献する。

 (写真は、水素炊きガスタービンのイメージ写真)

 MHPSが契約したのは米国ユタ州のインターマウンテン電力(IPA:Intermountain Power Agency)が計画する水素を利用したガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電プロジェクト。MHPSが開発した水素焚き大型ガスタービン技術を活用したM501JAC形2基を中核とするGTCC発電設備を納入する。同社が水素焚きJAC形の設備を受注するのは今回が初めて。

 MHPSキャプチャ

 IPAが計画するGTCC発電設備は、ユタ州都ソルトレイクシティの南西約140kmに位置する石炭火力発電所の設備を更新して建設する。トランジション(移行)事業でもある。従来型の火力発電を、水素混焼率(体積比による混合比率)30%のGTCCへ更新することで、CO2排出量は最大で年間約460万㌧を削減できる。CO2排出削減量は、東京都の約2.4倍の面積の森林が吸収するCO2量に相当するという。

 発電設備はIPAが所有し、同社の最大株主であるロサンゼルス水道電力局(LADWP:Los Angeles Department of Water and Power)が運営する。発電電力は、ロッキー山脈をまたいでカリフォルニア州およびユタ州に幅広く供給される。水素混焼率は2045年までに100%に引き上げる予定。供給される水素は、MHPSが参画するユタ州内の再エネ由来電力のエネルギー貯蔵事業から活用する見通し。

 提供するM501JAC形ガスタービン2基は、MHPSの高砂工場(兵庫県高砂市)から、また蒸気タービンと発電機2基は日立工場(茨城県日立市)から供給する。その他必要な設備や補機類は米国法人が調達・供給を手掛け、併せて20年間の長期保守契約(LTSA)を締結する。

 一方、水素を供給する再エネ貯蔵事業であるMHPSの先進的クリーンエネルギー貯蔵事業(ACES:Advanced Clean Energy Storage)は、岩塩空洞の開発・運営会社であるMagnum Development(MD)が運営するユタ州の岩塩坑を活用する。太陽光発電や風力発電などの再エネ電力を利用して水の電気分解を実施、取り出した水素などを貯蔵、発電などのエネルギー生産に活用する。MHPSは、2019年にMDと提携し、100%再エネ由来では世界最大級となる100万kWのエネルギー貯蔵施設の開発を目指している。

 MHPSは、オランダでも44万kWの天然ガス焚きGTCC発電所を対象として、2025年までに100%水素専焼に転換するプロジェクトに取り組んでいる。今回のユタ州でのACES参画および水素焚きJAC形ガスタービンの初受注を弾みとして、水素100%専焼実現に向けた技術開発を加速させるとともに、火力発電事業者の水素利活用に向けた取り組みを支援し、水素社会の実現に貢献していく、としている。

https://www.mhps.com/jp/news/20200312.html