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日本板硝子、ガラス製造に水素エネルギー活用でCO2排出量大幅削減目指す。11月に英国で実証実験。成功すると最大8割の削減可能(RIEF)

2020-03-26 12:10:56

garass1キャプチャ

 

 日本板硝子(NSG)はガラス製造に水素エネルギーを利用する実証実験を始める。現在はガラス原料を溶かすために天然ガスと重油を使っており、CO2排出増大の要因になっているが、天然ガスをすべて水素に切り替えるとCO2排出量を8割削減できるという。ガラス製造に水素を活用するのは世界でも初めとなる。今回の実験で、水素に切り替える割合や製造コスト等を実証実験で確認する。実験は、英国政府の補助金を得て、11月に英国で行う。

 

  実験は、英政府がCO2 削減のためにイングランド北西部で推進する共同事業体HyNetプロジェクトの一環。工業燃料転換計画から520 万ポンド(約6億8000万円)の資金補助を受ける。実証実験は建築用ガラスを製造する同国北部のグリーンゲート工場で実施する。

 

 実験では、ガラス溶解窯の主燃料である天然ガスと重油の代替エネルギーに水素を利用する。転換可能な水素の比率を調べるのが目的で、天然ガスをすべて水素に転換できればCO2を80%削減することが可能という。実験は一日当たり8時間を予定している。

 

 ガラスの製造では、ケイ砂やソーダ灰などの原料を溶かすために天然ガスと重油を燃焼させてガラス溶解窯を高温にする。全工程のうちこの工程で7~8割のCO2を排出する。この燃焼の熱源として水素を利用することで、CO2排出量を大幅に削減することを目指す。同時に、製造コストや品質への影響も調べる。

 

 NSG は、2030 年のCO2 排出量(Scope1、Scope2)を 2018 年対比で 21%削減の目標を立て、過去3年間の取組で、エネルギー使用量とCO2排出量の削減で単位生産量当たりのCO2排出量を5%削減している。

 

  ガラス製造は、鉄鋼、化学、セメント等と並んでCO2高排出産業として知られる。最近は鉄鋼でも水素利用の実験が進んでいる。今回のNSGの実証実験も温暖化対策の推進につながるものとして期待される。ただ、日本のガラス製造企業に対する公的な支援が、日本の経済産業省ではなく、英国政府という点で、わが国の温暖化対策の手ぬるさを示す形にもなった。

https://www.nsg.co.jp/-/media/nsg-jp/ir/press-releases/2020/27feb2020testhydrogenfuelforglass_j01.pdf

https://hynet.co.uk/