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「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」、コロナ後の経済対策で「脱炭素社会への移行推進」とすることを求める提言、政府に提出。カーボンプライシング導入も求める(RIEF)

2020-06-26 10:51:47

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 気候変動対策の推進を求める企業で構成する「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」は25日、コロナ危機からの回復における経済対策として、気候変動へ対応する「脱炭素社会への移行」を止めないことが大事とする提言をまとめた。その具体策として①デジタル化支援と再エネ設備導入の同時実施など、脱炭素化に整合する新たな生活様式・行動の定着支援②再エネ大量導入・コスト低減に資する送配電網の整備等、企業の再エネ投資を喚起策の推進③カーボンプライシングの導入、を政府に求めている。

 

 JCLPはイオン、積水ハウス、LIXILなど144社が参加し、脱炭素社会の実現に向けて各社が連携した行動を展開している。今回の提言は、コロナ危機を克服する経済対策の展開に、気候変動対策への配慮を求める「グリーンリカバリー」を日本でも推進するよう提言した形だ。提言は関係省庁に提出された。

 

 提言では「コロナ危機では、私達の『今』の行動が、2週間後に感染者の数として、1ヶ月後に犠牲者の数として現れ、収束に数ヶ月を要する事態に発展し、社会経済へ極めて大きな打撃を与えた。もう一つの危機である気候変動も、私達の『今』の行動が、数年~数十年後に気温上昇となって現れ、社会経済の安定を揺るがす」と指摘。より強靭で安心できる経済社会を構築するためには、コロナ危機においても脱炭素社会への移行を止めないことは必須、と強調している。

 

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 JCLPは参加企業として、コロナ危機克服に最大限貢献していく決意 を表明するとともに、「もう一つの危機」である気候変動への対応として、自らの事業における脱炭素化の継続と政策の方向性についての意見表明を行った。

 

 まず、コロナ危機と同様に、世界の科学者が気候変動の危険な影響を避けるには2050年までに世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする必要があると警鐘を鳴らしているのに、「日本は科学的見地から求められるレベルの削減目標を持たず、石炭火力発電所の新 設を国内外で進めており、国際的な非難を浴びている」と現状を指摘。

 

  このままでは気候危機は回避できず、コロナの経験からも、危機に陥ってからの対応は非常に困難。「今こそコロナ危機の教訓を踏まえ、気候変 動に対応する必要がある」としている。

 

 そのうえで、 政府が推進する「V 字回復フェーズ」を脱炭素社会への転換の契機とするために3点の政策の導入を求めている。

 

 

 その一つが「脱炭素に整合する新たな生活様式・行動の定着支援」だ。コロナ危機は、我々の行動や生活様式に大きな変化をもたらした。この中で、デジタル化やリモート化などは、社会全体の脱炭素につながる可能性がある。これらの新たな生活様式・行動を気候変動対策につなげるべく、デジタルインフラ導入を通じた家 庭・業務・産業・運輸各面での省エネや、デジタルインフラを支えるエネルギーシステムの脱炭素化に対して適切な支援の実施を求める。

 

 次いで、「 再エネ大量導入・コスト低減に資する送配電網の整備と企業の再エネ投資を喚起する施策の推進」。日本でも 2030 年の電源構成における再エネ比率 50%を目指すべきとし、大量導入を実現するには、誰もが再エネを作り、使 えるよう、送配電網の広域的かつ持続可能な増強が必要、としている。また企業の再エネ投資を促すコーポレートPPAの推進などを求めている。

 

 三つ目の「時宜を得たカーボンプライシングの導入」では、経済全体で最も費用効率的にCO2削減を可能とするカーボンプライシングは、脱炭素社会への円滑な移行に資する非常に有効な施策とした。エネルギー価格が過去最低水準を下回る「今」は、家計・事業への負担を抑えた形でカーボンプライシングを導入できるタイ ミングとした。炭素税の場合は、経済が再拡大する段階では脱炭素へのインセン ティブを付与しつつ税収が徐々に伸び、経済復興財源の確保や財政健全化にも役立つとしている。

 

https://japan-clp.jp/wp-content/uploads/2020/06/20200625_jclp_statement.pdf