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習近平中国国家主席、国連総会で「2060年までにCO2排出量実質ゼロ実現を目指す」と表明。新型コロナ感染からの「グリーンリカバリー」推進も宣言(RIEF)

2020-09-23 12:06:40

Xi001キャプチャ

 

 各紙の報道によると、中国の習近平国家主席は22日の国連総会の一般討論でビデオ演説を行い、2060年までにCO2の排出量を実質ゼロを達成する努力をすると表明した。先に、EUとの首脳会議でも、その可能性を示唆していた。同氏は新型コロナウイルス感染対策からの世界経済の回復で「グリーンリカバリーを後押しする」とも述べた。CO2排出量で世界最大の中国がネットゼロを国際公約したことで、パリ協定の目標達成への機運が再び高まるとともに、日本の温暖化対策の加速化を迫られそうだ。

 

 習氏は今月14日に開いたEU首脳とのオンライン会議で、今世紀半ばでの長期ビジョンとして、温室効果ガス排出量のピークアウトやカーボンニュートラルの導入等を検討していることを明かしていた。EU側が、2050年ネットゼロ、2030年55%削減(90年比)を打ち出す中で、同等の対策をとらない国からの輸入品に対してカーボン国境調節メカニズム(CBAM)の適用を迫る可能性を示唆したことへの対応だった。http://rief-jp.org/ct8/106765

 

 中国はパリ協定での国別温暖化対策貢献(NDCs)として、2030年ころにGHG排出量をピークアウトさせ、経済全体のGHG排出量を60~65%削減(2005年比)すると公約している。今回、習氏は、パリ協定について「低炭素社会への転換の大きな方向を示した」と高く評価。そのうえで「(同協定を守ることは)地球を守るために必要な最低限の行動だ。各国は決定的な一歩を踏み出さねばならない」と述べ、同協定から離脱した米国を念頭に、中国の貢献を強調した。

 

 その貢献の具体策として、これまで公約していたGHG排出量のピークアウトの時期を「around 2030」から「before 2030」に厳格化するとともに、2060年までのネットゼロ宣言をした。2030年までに排出量を減少に転じる「ピーアウト」公約の明確化とともに、「60年より前に実質ゼロを実現するよう努力する」と、NDCsの強化に踏み込んだわけだ。

 

 この宣言を実現するには、現在、国内エネルギーの約6割を占める石炭等の化石燃料資源を大幅に減少させる必要がある。だが、中国では再エネのほか原発にも力を入れており、これらによってCO2排出削減を加速させることになりそうだ。

 

 2060年のネットゼロ目標の時期は、既存の石炭火力等の発電所の更新時期に相当する。このため、新設の石炭火力を抑制し、既設石炭火力の建て替えに際して、再エネや原発等への切り替えを進めていくことで実現を目指すことになるとみられる。パリ協定でのNDCsで公約したピークアウトを確実に実現し、CO2排出量削減をさらに追加できると、計算上、ネットゼロ(カーボンニュートラル)も不可能ではないとみられる。

 

 今回の国連演説は、新型コロナウイルスの感染対策で議場への入場を制限したうえで、各国首脳の演説は、事前に収録されたビデオを流す形式で行われた。習氏は4カ国目で登場した。同氏はトランプ米大統領が新型ウイルスを「中国ウイルス」と呼んで、中国の対応を批判したことに対し、「ウイルス感染を政治問題化し、汚名を着せることに反対する」と強く反発した。また、貿易問題で対立する米国を念頭に「単独主義、保護主義には旗幟鮮明に反対する」とも指摘した。

 

http://jp.xinhuanet.com/2020-09/23/c_139388680.htm

(この記事は、2020年9月26日に更新しました)