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自民党の世耕参院幹事長、菅首相の「2050年温室効果ガス実質ゼロ」宣言を踏まえ、「温暖化対策に原発活用を」強調。再稼働だけでなく新設も。政府・自民の原発推進路線明瞭に(各紙)

2020-10-28 02:07:55

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 自民党の世耕弘成参院幹事長は27日の記者会見で、温暖化ガス排出削減へ原子力発電所の活用を進めるべきだという考えを示した。同氏の発言は菅首相が所信表明演説で、2050年までに温室効果ガスの排出ネットゼロ目標とともに、「安全優先で原子力政策を進める」との方針を示したことを受けた形だ。政府・自民党が「温暖化対策を名目にして、原発再稼働促進に力を入れる」姿勢を明確にしたといえる。

 

 各紙の報道によると、世耕氏は、菅首相が打ち出した温室効果ガス排出実質ゼロ目標を目指す政府方針を踏まえ、「非常に野心的な目標で、達成には困難もたくさんあると思う。水素の利活用などの技術を確立することが必要だ」と述べるとともに、「原発の再稼働や新しい技術を取り入れた原発新設の検討を進めていくことが重要」と指摘したという。

 

 世耕氏は経産相も務めていた。「現実問題として、CO2を出さずに大量のエネルギー供給ができる電源は原子力だ。安全に最大限配慮して原子力発電所の再稼働を進めるとともに、新しい技術を取り入れた原発の新設も検討を進めていくことが重要ではないか」と語った。

 

 経産省は現行の政府のエネルギー基本計画での2030年の目標として、原発を20~22%と、再エネ22~24%としている。再エネは2019年時点で18.6%にまで上昇、30年までには目標を超過達成する見通しとなっている。だが、原発は再稼働の遅れで6.6%にとどまっている。

 

 こうした状況を打破しようと経産省や原発業界は、「原発はCO2排出のないクリーンエネルギー」とアピールしている。菅首相の「実質ゼロ」宣言に乗じて、原発推進に舵を切ろうとしているように映る。官邸が福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄早期決断に拘るのも、原発推進政策を展開するうえで、「福島事故」からの決別を目指す狙いのようだ。

 

 世耕氏は、再稼働が十分に進まない現状を知りながら、「原発の再稼働に加え、新設の検討も重要になる」との考えを示した。核廃棄物の最終処分場の受け入れ自治体をめぐって選定手続きが注目を集めているが、これに加えて原発新設の受け入れ自治体の公募も始めるのだろうか。