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政府、官邸に気候変動対策推進室を新設。菅政権の「2050年ネットゼロ」目標実現で政府内調整の機能。財務省からは高田英樹氏を起用(RIEF)

2021-03-12 23:43:25

kanteiキャプチャ

 

   政府は首相官邸で、気候変動対策を統括するため、内閣官房に気候変動対策推進室を新たに設置した。菅政権が推進する「2050年ネットゼロ」実現に向けて、官邸を軸に関係各省庁間の調整を主導する機能を担うとみられる。関係省庁から気候変動関係の専門官僚が招集されるが、財務省からは高田英樹主計局給与共済課長が総括参事官として就任した。

 

 高田氏は、OECD出向時代に気候変動問題に取り組み、現在、政府の役職とは別にボランティアでGreen Finance Network Japan(GFNJ)の事務局長を務めている。GFNJは日本のグリーン&サステナブルファイナンスを巡る内外ネットワークの拠点の一つとして海外でも評価されている。

 

 菅首相は昨年10月、「2050年ネットゼロ」を宣言した。しかし、同目標を実行するための2030年中間目標、パリ協定の国別温暖化対策貢献(NDCs)等を早急にまとめ、国際的に宣言することが求められているが、石炭火力発電維持路線を堅持している経済産業省が大きなカベになっている。

 

 一方、環境省は「脱炭素」を掲げるが、政策力に乏しいことから、明確な政策手段と方法論を示すことができていない。これまで気候・エネルギー政策は、環境省と経産省が調整してきた。だが、両省に任せておくだけでは、国際的に求められる野心的でかつ、バランスのとれた気候政策の立案は危ういとの懸念も出ている。

 

 また、気候変動対策は、両省だけでなく、農地や森林等の吸収源機能を活用する農林水産省、インフラの省エネ化・グリーン化では国土交通省、生活・雇用等では厚生労働省等の取り組みも求められる。こうしたことから、政府全体での取り組みを進めるため、内閣官房に気候変動対策推進室を置くことにしたとみられる。

 

 日本に求められている政策課題は、「2050年ネットゼロ」の長期目標達成のロードマップの策定だが、短期的には、直近の4月の米国主催の気候リーダーズサミット、7月のG7、11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)等で、日本の気候政策への信頼性をどう示すかが問われている。

 https://www.mof.go.jp/about_mof/introduction/personnel/transfers/2021.03.12_6.pdf